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自己破産 2023/04/24

自己破産するとどうなる?自己破産後の生活を事前にチェック!

自己破産をすると今の生活が一変してしまう、大きく制限されて元のような生活を送ることはできない、そんな印象を持っている方は少なくないかもしれません。

もちろん、自己破産によって生活に支障がまったく出ないわけではありません。しかし、自己破産をしたからと言って全ての財産を失うことは無く、家族に直接的に影響したり、家族の就職が大きく制限されたりすることは無いのです。

しかし、間接的には家族も影響を受けます。住んでいる家を残せない、家族カードを作っている場合は、名義人が自己破産すればそのカードが使えなくなります。今回は、気になる自己破産後の生活で出来ること、出来ないことを中心に知っておくべき情報を詳しくご紹介していきましょう。

自己破産をしても全財産失うことはない

自己破産をすると、すべての貯金を取り上げられてしまう、家具や家電も失い、住むところもなくなってしまう、そんなイメージを持つ方はいませんか?

自己破産をしても、破産者の必要最低限の生活は保障されるため、一定の財産は手元に残ります。

具体的に、何が残り、何を失ってしまうのかをチェックしておきましょう。

項目 差し押さえ対象 説明
自宅 現金化して返済にあてる
賃貸の人は今まで通り住むことが可能
現金化して返済にあてる
生活必需品
家具や衣類
× 生活に必要な物、換金価値がないものは
差し押さえ対象外
現金・預貯金 給与の4分の3や99万円以下の現金や
20万円未満の貯金は
残すことが可能
貴金属 現金化して返済にあてる
解約手続きによる
払い戻し可能な
各種保険
現金化して返済にあてる

自己破産は、破産者の生活を助ける目的で行われる最終手段です。ですから、その後の生活がきちんと送れるように全ての財産・資産を取り上げるようなことは無いのです。

年金も差し差し押さえられることはありません。また、自己破産後も受給資格は残るため、今まで通り受け取ることが出来ます。

一方、年金保険料については自己破産で免除されることはありませんので、自己破産後もしっかりと納める必要があります。

自己破産後に得た収入は没収されてしまうの?

自己破産をした後に得た給料は、差し押さえられることはありません。

自己破産は、破産手続き開始決定時点での財産で負債の清算を行います。手続き開始決定後に得た収入に関しては、対象外となるのです。

ただし、すでに受け取っている給料については金額によって差し押さえ対象となります。口座残高20万円を超えている預金、もしくは99万円を超えている現金は差し押さえ対象となりますので、注意しましょう。

ちなみに、自己破産では退職金が差し押さえ対象となってしまいます。自己破産手続き開始時点で受け取ることが確定している金額について、その4/1が対象額となるのです。

ただ、定年がまだ先である場合は8/1が差し押さえの対象となることもありますし、受け取る退職金が少額となれば対象とならない場合もあります。

自己破産をしても免責されない債権とは

自己破産をすると借金がゼロになる、そういう認識を持っている方がほとんどですよね。実際、免責が確定すれば全ての債券が免除されます。

ただ、例外として免除されない債権があります。それが、非免責債権です。

自己破産をしても支払わなければいけない非免責債権を、しっかり押さえておきましょう。

税金、社会保険料
住民税や自動車税、国民健康保険料、国民年金保険料といった社会保険症については免除されません。しかし、支払いが厳しい場合は役所での相談で分割払いなどの対応が可能です。
悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償
故意に他人をだますなど不法行為を行ったことによる損害賠償は、免責されずに支払い義務が残ります。
故意や重い過失により加えた人の生命や身体を害する右方行為に基づく損害賠償
故意に相手を傷つけた、著しい不注意によって事故を起こしたことによる損害賠償は、支払いを続ける義務が残ります。
子の監護に関する義務、扶養の義務、夫婦間の協力・扶助の義務など
子供への養育費や日常の生活費について免除されることはありません。
従業員の給料や預かり金
従業員への未払い給料や預かり金に関しては、自己破産後も支払い・返還する義務が残ります。
申し立ての際に債権者名簿に記載しなかったもの
自己破産手続きの際には、すべての債権者を申告しますが、その際に申告しなかったものは免除されません。
罰金など
刑事罰による科料や行政罰による過料などは、支払い義務が残ります。

自己破産をしたことによって受ける3つの制限

自己破産によってその後の生活にどのような影響が出るのか、代表的な制限についてチェックしておきましょう。

1.新規クレジットカードの作成が出来ない

自己破産をすると個人信用情報機関に事故情報が登録されます。ブラックリストと呼ばれる状態です。

事故情報が登録されていると、信用が欠けていると判断される為クレジットカードの申し込みをしても一定期間は審査に通ることはできません。

これは、クレジットカードだけでなくローン利用も同様に、審査に通ることは不可能となります。

ただし、自己破産による事故情報は5~10年で削除されます。この期間が経過すればブラック情報は削除され、信用さえあれば再び審査に通ることは可能となります。

2.携帯電話が使用できなくなるケースがある

携帯電話を購入する際、本体料金を分割払いしていることがあります。

実は、本体の分割払いが終わっていない場合は携帯電話を使うことはできません。

本体分割払いの残高も、自己破産で免除される債務となってしまう為です。

また、携帯料金を延滞している場合も携帯を所持することはできません。

本体の未払いや料金の滞納がある場合、自己破産をすると携帯電話会社が債権者となります。

自己破産をしたという事故情報(ブラックリスト入り)は、各携帯電話会社と情報が共有されるので、他の会社へのキャリアの乗り換えができなくなる可能性もあります。

ブラックリスト入りでも、携帯電話を購入するには機種本体を一括支払いなら購入することができます。

端末の支払いが終わっていて、料金の滞納がない場合は、自己破産をする以前同様利用できます。

3.特定の職業では一定期間働くことが出来ない

自己破産をすると、職業資格制限がかかります。

ただ、手続き開始から裁判所からの免責が下りるまでの期間、一部の仕事に就けないだけで、一生その仕事が出来ないと言う訳ではありません。

免責決定までの期間はおよそ2~3ヶ月ですので、その仕事に就いている方は自己破産をする際に職場に報告する必要があります。

職業資格制限がかかる職種の一例がこちらです。

  • 弁護士
  • 公認会計士
  • 税理士
  • 弁理士
  • 司法書士
  • 行政書士
  • 国家公安委員会
  • 不動産鑑定士
  • 土地家屋調査士
  • 警備員
  • 貸金業者
  • 証券会社外交員
これらの職種の方、もしくは近々この職に就く予定という方は、資格制限のかからない「個人再生」を検討するという方法もあります。

借金が全額免除されることはありませんが、3年から5年の分割で支払うことが出来る金額に大幅に減額されます。

借金減額シュミレーターなどでどれだけ減らせるか手軽にチェックできますよ。

自己破産で家族にどんな影響がある?

自己破産は、申込人本人だけが対象となります。配偶者の預貯金が差し押さえられることは無いのです。

また、破産者の家族がクレジットカードを申し込む、ローンを組むという点でも影響はありません。

ただし、持ち家や車は処分されてしまうため、そういう意味で影響を受けることは避けられません。

教育ローンは解約しなければいけない

自己破産では、使途が決まっている教育ローンは解約しなければいけません。

自己破産後は一定期間ローンの申し込み審査に通らない状態になりますので、教育資金を確保するのが困難になる恐れがあります。

子供の教育資金として学資保険を契約している場合、自己破産すると解約になります。解約返戻金が20万円以上あれば、財産とみなされるためです。

解約返戻金が20万円以下の場合、解約はしなくても良いとされています。また、解約金を担保にする「契約者貸付制度」を利用すれば継続できる可能性もあります。

別の方法として、裁判所に「自由財産の拡張」を申立てることもできます。管財人や裁判所に認められると解約せずに済みます。ですが必ず認められる方法ではありません。

子供のための教育資金を確保しておきたいがために、保険契約者である破産申請者から配偶者に名義変更するのは良くありません。財産隠しとみなされ、免責不許可事由に該当すれば自己破産ができなくなります。

自己破産をしても一定期間後は保証人になることはできる

自己破産をしてすぐは、保証人になることは厳しくなります。しかし、一定期間(5年以上)が経過すれば保証人になることも可能となります。

子供の奨学金の申し込みを検討している場合は、覚えておきましょう。

一定期間は住宅ローン審査に通らない

自己破産をするとブラック状態になるため、クレジットカードやキャッシングと同様に住宅ローン審査にも通ることが出来ません。

事故情報が削除されるまでの5~10年間は住宅ローンを組むことが出来ませんので、家族の将来設計に大きく影響する場合があります。

個人信用情報に事故情報が登録されているか、削除されているかは各個人信用情報機関への情報開示請求をすることで確認できます。

ただし、ブラック情報が削除されていても、その時の収入や頭金、属性によっては審査に通ることは難しくなります。事故情報削除後にも、クレヒスを積んで信用を得ることが重要と言えるでしょう。

ちなみに、自己破産時に住宅ローンの返済が残っている場合はその債務も免責対象となりますが、持ち家は没収されます。

住宅は競売にかけられることになりますが、住宅ローンに関しては連帯保証人がいると、代わりに返済を求められる可能性があります。

住宅ローンを残した状態で自己破産をする際には、連帯保証人に影響を及ぼす可能性について考えておかなければいけません。

持ち家の処分を避るため、自己破産申立ての前に持ち家の名義人の変更をすれば、処分を免れるのでは?と考えるでしょう。

ですが、これはNG行為です。「財産隠し」という名目で免責不許可事由にあたり自己破産ができなくなります。

自己破産をする2年以内の名義変更であっても、事情の説明を明確しましょう。「自己破産を前提に、持ち家の名義変更をしてのでは?」と疑われる可能性があります。

名義変更を隠さず、名義変更の理由は正直に答えないといけません。

親の自己破産で子供はどうなる?

親が自己破産したとしても、基本的に子どもが不利益を被ることはありません。戸籍に情報が記載されることはありませんし、進学や就職に影響が出ることもありません。

自分名義のクレジットカードを作ることもできますし、子供自身の財産が没収されることも、取り立てを受けることもないのです。「自己破産すると子供はどうなるのか?」と不安になる必要はないでしょう。

ただし、以下のような場合は別です。

  • 親が所有している持ち家で暮らしている
  • 親名義のクレジットカードの、家族カードを所有している

住む場所を失ってしまったり、カードを強制解約されたりする可能性があるでしょう。

また、親の自己破産前に財産を受け取っているケースも注意が必要です。自己破産するとわかっているにもかかわらず、財産を贈与していた場合、子供の財産であっても「もともとは親のもの」とみなされ、没収される可能性があります。

【官報】を見れば自己破産したことがバレる

自己破産をしたことは、官報に掲載されます。官報は誰でも閲覧することはできますが、官報をチェックするのは役所の担当者、法律関係者、金融関係者が主となります。

一般の方で官報をチェックするケースは少ないために官報から自己破産がバレる可能性は低いと言えますが、まったくバレない可能性があるとは言えません。

もう閉鎖していますが、「破産者マップ」という、破産者の名前や住所などが記載されたサイトが公開されていて、かなり話題になりました。悪意を持っているいないに関わらず、自己破産をした人の情報が誰でも見られる状況にあり、自己破産をした人にとってはかなりの脅威でした。

会社に自己破産がバレてしまうケース

基本的には、会社に自己破産したことを伝える必要はありません。また、自己破産した通知が会社に届くこともありません。

ただ、官報を確認する以外にも、自己破産したことが知られてしまうケースはあります。それは、会社からの借り入れがある場合です。

会社からの借金も、自己破産で免責対象となります。当然、会社に通知が届きますので、黙って手続きをすることはできないのです。

自己破産は、すべての債権者に対して平等に扱うという債権者平等の原則があります。一部の債権者のみ除外して手続きを行うことはできません。

自己破産するとどうなる?気になる生活を具体的にイメージしよう

ここでは、自己破産後の生活に関わる細かなポイントを紹介していきます。具体的なイメージをつかむため、ぜひ役立ててみてください。

自己破産すると車はどうなる?

自己破産すると、車は差し押さえ対象となります。しかし、ローン完済済みで車の価値が時価20万円以下と判断されれば、車を手元に残せる可能性もあるのです。

また通院や介護等、「やむを得ない事情がある」と判断された場合には、生活維持のために車の保持が認められる可能性も。このあたりは、裁判所によって判断が変わってくるでしょう。

「どうしても車を残したいから」という理由で、自己破産前に車のローンだけを一括返済したり、ローンそのものを隠したりすることはやめてください。詐欺罪に該当する恐れがあります。

自己破産すると年金はどうなる?

自己破産すると、「年金も受け取れなくなってしまうのでは…」と不安に思う方もいるかもしれません。しかし実際には、そんなことはありませんから安心してください。

ただし、「影響を受けない」と明言できるのは、公的年金のみ。私的年金の場合、差し押さえの対象になってしまう可能性があります。

公的年金とは、国民年金と厚生年金のこと。その他の企業年金や個人年金などが、私的年金にあたります。

私的年金の中でも、企業年金は差押禁止財産となっていますから、心配はありません。一方で、生命保険会社等と契約する個人年金の場合、解約返戻金が20万円を超えると処分対象になってしまいます。

国民年金や厚生年金は、生活するうえで必要な財産で「自由財産」と言い、「差し押さえ禁止財産差」となっています。

自己破産後も、受給資格はありますし、年金を受け取れるので安心してください。また、障害年金や遺族年金も自己破産しても、減額の心配なく受給できます。

「年金受給中に自己破産したら、年金が受給がストップするかも?」と不安になりますよね。先述通り、個人年金以外は影響なく年金を受け取れるので心配いりません。

ですが、年金を受給しながら自己破産をするには注意点があります。年金以外に収入や財産があると自己破産が認められなくかる可能性があります。

  • アルバイトなど毎月収入がある
  • 投資をしている

裁判所に「返済能力がある」と判断されると自己破産ができなくなります。年金の他に収入や財産があるか調べておきましょう。

意外と知らない!自己破産をしても出来ること

自己破産をすると色々な制限があると思われていますが、出来ることも多くあります。

ここでは、意外と知られていない自己破産後に出来ることを4つご紹介しておきましょう。

車の購入
ブラックリストに載ってしまうため、ローンを組むことはできません。しかし、一かt払いであれば車の購入は可能です。
ただ、手元に残る現金は限られますので、格安な中古車などに限定されます。
就職
基本的に、自己破産は就職に影響しません。官報をじっくりチェックしていなければ、バレる心配がないためです。
履歴書に自己破産経験を記載する必要もありません。
海外旅行
自己破産をしても、旅行に行くことは可能です。ただし、管財事件になると手続きが完了するまで半年から1年は旅行は制限されます。
賃貸物件の新規契約
保証会社の保証が必要となる物件は、ブラックであることが影響して契約が難しくなります。しかし、個人信用情報機関に登録していない保証会社や、連帯保証人を用意して保証会社による審査が不要の物件であれば、新規の賃貸契約ができる可能性は十分あります。
また、事故情報が削除された後であれば保証会社の審査に通ることも可能となります。

自己破産後も普通の生活を送ることは可能

自己破産をしても、全てを失ってしまうわけではありません。一定の資産は残すことができますし、賃貸物件なら引き続き住むことが出来ます。

一定期間はブラックになってしまうため新規クレジットカードの申し込みやローン利用はできません。

借金をゼロにしてもらえる分、資格制限やローンの申込み、財産の没収などどれも大きなインパクトがあります…。しかし、目の前の借金がきつくてかなり困っていて、もう返せない…という状況になっている方は、専門家に自己破産について相談してみてはいかがでしょうか?

自分の今の状況に最適かどうかなどを一緒に考えてもらえますよ。自己破産をしても、破産者の最低限の生活は保証されます。生活を再建するため、安定した収入を得ること、そして同じ過ちを起こさないことを心がけましょう。

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