債務整理について 2019/12/25
特定調停は費用負担が少ない債務整理!メリットデメリットを知ろう
特定調停とは、債務整理の方法の一つです。借金返済で困った際にこの手続きを行うことで、負担の軽減につなげられる可能性があります。
特定調停の内容やメリット・デメリット、具体的な手続きの流れなどを紹介します。
Contents
特定調停は、債務者自身が裁判所に申し立てる債務整理
特定調停とは、簡易裁判所に対して債務者が直接申し立てを行い、そこで借金整理について債権者と交渉を行い、裁判所に仲立ちをしてもらう方法です。
特定調停と似た債務整理として挙げられるのが任意整理です。
- 任意整理の場合:代理人となる弁護士が手続きを進めていくケースが一般的
- 特定調停の場合:裁判所が仲立ちをしてくれるものの、基本的には全てを自分で行う
特定調停において、「自分自身で手続きを行うのが不安」という方も多いかもしれませんが、下記のような特徴があります。
- 話し合いは調停委員の主導のもとで行われる
- 相手方と直接交渉したり口論になったりということはない
- 必要な書類の作成などについては、裁判所の窓口で教えてもらえる
ただし、特定調停を行ったからといって必ず借金が整理されるというわけではなく、あくまでもお金を貸している側と借りている側、双方の合意が必要となります。
これまでの取引履歴をもとに引き直し計算を実施、利息制限法の上限金利を適用し借金を減額したり、業者との話し合いで将来利息をカットしたりします。
計算の結果、導き出された借金の金額をもとに3年~5年という期間で分割し、返済を行っていくことになります。
次は具体的なメリット・デメリットをチェックしていきましょう。それぞれを把握することで、自分が取るべき方法も見えてくるでしょう。
特定調停を行うメリット
まずは、特定調停のメリットについてまとめました。
1.低コストで債務整理が可能
特定調停における最大のメリットは「コスト不要」。たとえば任意整理などでは、弁護士を雇う必要がありますが、特定調停なら要りませんので、弁護士費用はそっくりそのまま節約できます。
費用負担が不安なときでも安心ですね。
2.特定調停の受付票の送付で取り立てストップ
特定調停では、精神的なメリットも期待できます。
借金問題には、厳しい取り立てに関する問題も付き物。特定調停の場合、裁判所への申し立てを行い、それらが受理され受付票が送付された段階で、取り立てをストップさせることができます。
3.業者ごとに柔軟な対応が可能
複数債権者の中から、整理したい借金だけを選択して話し合いを行うことが可能な点もメリットです。
自己破産や個人民事再生では、自動的に全ての債権者が対象になってしまいますが、特定調停は違います。
例えば、「消費者金融の借金は整理したいけれど、車がないと困るため、カーローンは除外したい!」などでも、適切な対応ができます。
特定調停のデメリット
自分でできる、費用もかからず整理したい債務のみを対象とすることができる特定調停ですが、もちろんデメリットもあります。
1.強制力がない
「交渉に応じるかどうかは相手次第」という点です。
申し立てを行うのは債務者の自由ですが、それに応じるかどうかは債権者の自由。よって当然、協力的ではない業者も数多く存在しています。
自分自身で動くまでのハードルが高い上に、やってみた結果どうなるのか分からない…点がデメリットと言えます。
2.時間や手間が発生する
特定調停は、書類の準備や裁判所への呼び出しに応じることなど、全てを自分で行う必要があります。
裁判所へと出向く時間帯が、「平日の昼間」に指定されるため、その時間を取られることになります。お仕事をされている方はお休みを取らなければなりません。
- 資料集め
- 申立書の記入
- 必要書類の準備
こういった雑務も発生し、意外と時間がかかります。
3.借金が減らない可能性もある
特定調停は、借金を整理するための方法の一つですが、常に大幅な借金の減額が見込めるわけではありません。状況によっては、借金の総額がそれほど変わらないケースも存在します。
「特定調停さえ行えば大丈夫だろう」という気持ちでいると、思わぬ結果にがっかりしてしまう可能性があります。
4.調停調書内容を守れないと、直ちに強制執行の可能性
裁判の判決と同等の効力がある調停調書には、調停で合意に至った返済方法が記載されています。
預金や毎月の給与、車や土地・自宅といった自身の財産を、即差し押さえられてしまうかもしれません。
余談ですが、任意整理で作成される「和解書」には、判決と同等の効力はありません。
特定調停ができない&しない方が良いケースもある!
特定調停を行うことが不可能なケースも存在します。条件を知っておく必要がありますね。
- 申し立てを行っても、業者側が交渉に応じない
- 必要な書類の作成や出廷が不可能である
- 減額後の借金が、3年~5年程度で完済可能な範囲におさまらない
- 現在無職で、継続して収入を得られる見込みがない
特定調停とは、あくまでも今後の返済をスムーズに行うための話し合い。よって、話し合いの場に居ることができない場合や、到底返済は不可能と思われる場合には、特定調停を行うことが難しくなります。
過払い金返還請求ができない!
特定調停が「できない」のではなく、あえて「しない方が良い」のは、『過払い金が発生している』と思われるケースです。
借金歴が長く借入額が大きい場合など、過払い金が発生している可能性が高い場合は、特定調停よりも先に、弁護士などの専門家に相談してみることをおすすめします。
特定調停の流れを知ってスムーズな手続きを!
実際に特定調停をやってみよう!と思ったときには、まず何から始めれば良いのか、戸惑う方も多いことでしょう。
- 簡易裁判所の窓口への相談
- 必要書類の準備・作成
- 特定調停の申立て
- 債権者への通知(取り立てのストップ)
- 調停期日
- 調停証書の作成及び17条決定
まずは簡易裁判所の窓口へと相談にいきましょう。今後の流れや必要書類など、説明を受けることができます。そして必要な書類を準備していきましょう。
- 申立書
- 自身が所有する財産の明細書
- 債権者の一覧
- 住民票の写し
- 債権会社の登記簿謄本
- 契約時の書類
※詳細については相談時に確認を!
いざ調停がスタートしたら、双方の意見から妥協点を探っていくこととなります。
- 1回目:お金を借りている側のみ
- 2回目以降:双方の主張を聞く(早ければこの段階で和解が成立)
- 3回目以降:和解に至らない場合、調停の回数が増えていく
和解が成立したタイミングで作られるのが『調停証書』で、和解に至らなかった場合でも、裁判所が妥当と思われる返済方法を決定する場合があります。後者のケースを17条決定と言います。
特定調停のメリット・デメリットを知って選択を
債務整理にはブラックリスト入りなどのデメリットがあり、特定調停においても例外ではありません。
だからこそ、自分にとって一番メリットの大きい方法を選択する必要があります。
- 特定調停の最大のメリット
-
- 自分の力で行えるために弁護士費用が節約(1件当たりわずか1,000円程度での手続き)
- 取り立てストップできる
- 整理したい債務のみを選択できる
- 特定調停にもデメリット
-
- 自分自身で行わなければならないので、時間や手間を要する
- 強制力がないので、債権者が応じてくれないかもしれない
- 結果として借金が減るかどうか分からない
- 過払い金がある場合でも、それを請求することができない
弁護士などの専門家を介さないことで、その他の債務整理の情報を得にくいという点も挙げられます。
借金に困り、特定調停を検討する際には、そのメリット・デメリットを正しく把握した上で、冷静に判断することが大切です。
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