個人再生 2020/01/06
給与所得者再生と小規模個人再生の違いとは…個人再生の種類と選び方
個人再生には、給与所得者再生と小規模個人再生という2つの手続き手段が用意されています。それぞれの特徴を知った上で、メリットが大きい方法を選択することが重要です。
給与所得者再生と小規模個人再生、それぞれの特徴や両者の違い、利用できる人の条件などをまとめます。
Contents
個人再生の基本スタイルは小規模個人再生
給与所得者再生と小規模個人再生という2つの方法が用意された、個人再生。
一般的に「個人再生」という場合、小規模個人再生の方を指します。
- 継続的に安定した収入を見込める人が利用できる
- 手続き終了後から原則3年で借金を返済する
- 裁判所に借金の返済計画をまとめた再生計画案を提出し、債権者の同意が必要
- 借金の総額と財産の価格から最低弁済額を計算し、高い方が弁済額となる
- サラリーマンなど、より安定した収入が継続的に得られる人が利用できる
- 手続き完了後から原則3年で借金を返済する
- 再生計画案に対する、債権者の同意がなくても手続きができる
- 借金の総額と財産の価格から最低弁済額を計算する際に、「可処分所得の2年分以上の金額」という条件が付加される
両者の違いをわかりやすくまとめると、概ね以下のとおりです。
小規模個人再生 | 給与所得者再生 | |
---|---|---|
主な対象者 | 継続的かつ安定した 収入が見込める人 |
サラリーマンなど 給与取得者 |
借金の減額幅 | ○ (最大90%カット) |
△ (収入と扶養状況による) |
債権者の同意 | 必要 | 不要 |
利用するための条件 | やさしい | 厳しい |
比較的利用条件がやさしく、また借金の減額幅も大きいのが小規模個人再生の特徴です。
個人再生を行う方のほとんどは小規模個人再生を利用しており、サラリーマンであっても例外ではありません。
個人再生の基本は小規模個人再生と言われるのは、このためでもあるのでしょう。
債権者の同意が得られないなら、給与所得者再生を!
小規模個人再生と給与所得者再生、それぞれの違いを知ったところで、「あえて給与所得者再生を選ぶメリットは、どこにあるの?」と思う方も多いのではないでしょうか。
給与所得者再生を選ぶメリットは、ずばり「債権者の同意を必要としない」という点です。
- 半数以上の債権者が再生計画案に反対する見込みである
- 負債額の1/2以上を占める、大口の債権者が再生計画案に反対している
これらの条件に当てはまる場合、残念ながら小規模個人再生を行うことはできません。多少要件が厳しくても、給与所得者再生を選ぶほかないでしょう。
給与所得者再生を行うための条件5つ
小規模個人再生ではなく給与所得者再生を行うことになった場合、以下の条件を満たす必要があります。
- 小規模個人再生の利用条件を満たしていること
- 給与所得者であること(もしくはこれに近い定期収入があること)
- 過去の年収ベースで、収入の変動の幅が20%以内であること
- 可処分所得2年分以上の支払いができること
- 過去7年以内に、給与所得者再生や自己破産の経験がないこと
小規模個人再生よりもさらに厳しい条件をクリアする必要があるので、あらかじめチェックしておきましょう。
またどれだけ安定した収入があっても、自営業者は給与所得者再生を選択することはできません。小規模個人再生が難しい場合には、自己破産や任意整理を検討してください。
まずは小規模個人再生で手続きをスタートしてみよう
専門家のもとで個人再生の手続きをスタートする場合、特別な理由がない限り、小規模個人再生を選択することになります。
債権者に反対され、小規模個人再生に失敗してしまった場合には、以下のいずれかの手段を選択することになります。
- 計画見直しの上、再度小規模個人再生の申立てを行う
- 給与所得者再生を行う
- 任意整理を行う
- 自己破産を行う
債権者側からの反対が原因で小規模個人再生に失敗した場合、なぜ駄目だったのか債権者側の意見を聞いた上で、再生計画案を作成、再度申立てを行うことができます。
もちろん、より手っ取り早く、給与所得者再生へと切り替えて手続きを行うことも可能。
つまり、「まずは小規模個人再生で債権者の同意を得られるようチャレンジしてみて、それが駄目だった場合に次の手を考えれば良い」というわけです。
個人再生の種類を理解して、自分に合った債務整理を!
債務整理は、自分の債務額や収入、今後の生活への影響を考慮した上で、自分に合った方法を選択するのがベストです。
自己破産についても、小規模個人再生と給与所得者再生の違いを頭に入れた上で、今の自分にとって必要な手段を選択しましょう。
- 減額できる借金額が大きくなりやすい
- 対象者が多く、利用条件も緩い
という特徴がある一方で、債権者の同意を得る必要があります。このハードルをクリアできないときには、給与所得者再生を選択するメリットが大きくなります。
借金問題の専門家に相談しながら、ベストな方法を探ってみてください。
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