個人再生 2020/01/06
個人再生の基となる民事再生法とは?法律とコストを知って安心手続き
個人再生をする際に、深く関わってくるのが民事再生法という法律です。基本を知ることで、個人再生をするべきかどうか判断する基準にできることでしょう。
民事再生法の概要をわかりやすく解説すると共に、法律に則って個人再生を行った場合、どの程度の費用がかかるのか、具体的に紹介していきます。
Contents
個人再生は民事再生法の特則に基づいて行われる手続き
民事再生法は、裁判所で民事再生の手続きを行う際に、その内容を規律する目的で作られています。
民事再生法は倒産法(倒産処理法)と呼ばれるものの一つ。倒産法には、
- 清算型
- 再建型
という2つの種類がありますが、民事再生法は再建型に当てはまります。
個人再生における民事再生法の特徴について
民事再生法は企業の民事再生について定めた法律ですが、その第13章において、「小規模個人再生及び給与所得者等再生に関する特則」を定めています。
個人再生を行う場合、この特則を適用し手続きを進めていくことになり、特に知っておきたいのが、以下の3つの特徴です。
利用できる人や減額幅に制限がある
個人再生の手続きを行うためには、以下のような条件が設定されています。
- 住宅ローンを除く借金額が5,000万円以下であること
- 継続的、かつ安定した収入があること
残念ながら個人再生は、「誰でも自由に行える手続き」というわけではなく、必要な条件を満たせているかどうか、事前にチェックする必要があります。
また個人再生は、自己破産のように完全に借金返済義務がなくなるわけではありません。民事再生法に則った形で減額された借金を、原則3年で返済していくことになります。
住宅資金特別条項(住宅ローン特則)という特別な制度がある
個人再生の特徴の一つが、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)です。
マイホームは再建後の生活の基盤となるもの。「債務者の経済的更生を目指す上で、住宅は手放さない方が良い」という考え方のもとで、この特則が作られています。
ただし、住宅ローン特則を利用するための条件はたいへん厳しく、通常の個人再生を行う際の条件にプラスして、以下のような項目を満たす必要があります。
- 再生債務者が個人であること
- 自分が居住している住居であること
- 建物床面積の半分以上が、自分の居住用面積であること
- 住宅の抵当権が、住宅ローン債権者または保証会社のみに設定されていること
- 住宅ローンの借入れが、新築・購入・リフォームに必要な資金であること
- 分割払いが設定されていること
住宅ローン特則が利用できるかどうか、個人で判断するのは難しいもの。住宅や住宅ローンに関する資料を集めた上で、専門家に相談するのがおすすめです。
法律で「借金の原因」が制限されることはない
個人再生の場合、借金の原因によって手続き可能かどうかを判断されることはありません。
たとえば自己破産の場合、
- 浪費
- ギャンブル
これらの行為が原因で借金が膨らんでしまった場合、「免責不可」と判断されます。
個人再生の場合には、これらが借金の原因であっても、手続きをすることが可能です。自己破産ができないときには、個人再生を視野に入れてみてください。
個人再生で必要な費用の内訳と目安
いざ個人再生の手続きをとろうと決めた際に、気になるのが必要経費についてです。個人再生を行う際に必要となるお金には、以下のような種類があります。
- 裁判所に支払うお金
- 弁護士や司法書士に支払うお金
裁判所に支払うお金は、手続き上絶対に必要となるお金です。一方、弁護士や司法書士に支払うお金は、手続きの全てを自分で行うことで、節約することも可能です。
それぞれの内訳や、具体的な金額の目安についてチェックしてみましょう。
【絶対必要】裁判所に支払うお金
個人再生を行う場合に、必ず必要となるのが裁判所に支払うお金です。
申立て手数料 | 10,000円(収入印紙) |
---|---|
官報公告費用(予納) | 12,000円 |
連絡のための郵便切手代(予納) | 約4,000円~8,000円 |
個人再生委員に対する報酬(予納) | 150,000円~250,000円 (※ただし選任された場合のみ) |
金額が大きいのが、個人再生委員に対する報酬ですが、選任されるかどうかは地域・状況によっても違ってきます。
東京地方裁判所では全件で選任されることが決まっているので、準備しておきましょう。
【状況に応じて必要」弁護士・司法書士に支払うお金
面倒な手続きも多い個人再生では、弁護士や司法書士に依頼して手続きを進めていくスタイルが一般的です。報酬目安は以下のとおりです。
弁護士に依頼した場合 | 30万円~50万円程度 |
---|---|
司法書士に依頼した場合 | 20万円~30万円程度 |
※住宅ローン特則を利用する場合 | 通常報酬に5万円~10万円程度の上乗せ |
- 自分の手間を最小限にしたい人
- 報酬金額が高くても、全てをお任せしたい人
【司法書士に依頼するのがおすすめの人】
- 報酬負担をできる限り抑えたい人
- 自分で手続きを行うだけの時間的・精神的な余裕がある人
報酬金額はあくまでも目安であり、事務所ごとに差が大きいポイントでもあります。契約前の事前相談時に、金額や支払い方法について確認しておきましょう。
報酬が支払えるか不安なときには、まず相談を!
弁護士や司法書士に依頼する場合、個人再生をするためには、まとまったお金を用意する必要があります。
「借金返済だけでも不安なのに…報酬まで支払えるのだろうか」と不安を感じたときには、ぜひ弁護士・司法書士に相談してみてください。
多くの事務所では、
- 分割払い
- 後払い
- 借金返済時期との調整
(※報酬支払いを借金返済スタート前に完了できるよう、申立て時期を調整)
など、報酬を無理なく支払えるよう、さまざまな工夫を行っています。
「報酬が支払えないから個人再生は難しい」と、最初からあきらめる必要はありません。
個人再生は、仕組みとコストを理解して手続きしよう
民事再生法とはどのような法律なのかを知ることで、個人再生についてもより理解が深まるはずです。
ざっくりで構いませんから、民事再生法で定められている内容や、個人再生に関わる特則を、リサーチしておくのがおすすめです。
弁護士や司法書士に個人再生を依頼した場合、裁判所に支払う費用も含めて35万円~80万円程度かかるケースも存在しています。
自分自身の場合、どの程度のコストがかかり、またそれをどのように支払っていけば良いのか、手続きをスタートする前に確認しておきましょう。
事前のリサーチが、個人再生手続き完了後の生活立て直しにもつながるのではないでしょうか。
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