個人再生 2023/04/20
個人再生で失敗しない借金減額を!住宅ローン特則(住宅資金特別条項)で家を守れる
個人再生を選択するメリットの一つは、住宅資金特別条項です。
マイホームのローン返済中であり、債務整理によって住宅を手放したくない!と思うのであれば、個人再生で「住宅ローン特則」を利用するのがおすすめです。
個人再生で住宅を残したい!と思う場合のポイントや利用条件、個人再生と住宅ローンの関係性などをまとめます。
Contents
個人再生とはどのような制度?
個人再生とは、法律で認められた借金問題解決法である、債務整理の一つです。裁判所に対して申し立てを行い、認められれば借金を大幅に減額できます。
債務整理の中でも、自己破産を選択すれば借金の返済義務はすべてなくなります。個人再生の場合、最大で1/10になるとはいえ、借金額は残ります。
個人再生の流れとは?
個人再生は、以下の流れで手続きします。
- 申立書の準備(調査や書類作成など)
- 裁判所への申し立て
- 再生手続開始決定
- 裁判所による確認と双方の申述
- 再生計画案の作成と提出
- 書面付議決定意見聴取手続開始決定
- 裁判所が再生計画を
- 認可
- 清算
個人再生は、その手続きが複雑なことでも知られています。自力で全てを手続きするのは難しいでしょう。弁護士や司法書士に相談し、サポートしてもらうのがおすすめです。
個人再生を専門家に依頼した場合、必要な期間はおよそ6ヶ月程度です。ただし正式依頼後、受任通知が発送されれば、取り立ては止まりますから安心してください。
個人再生で住宅が残せるのは、債務者の生活再建のため!
個人再生は自己破産とは違い、ただ単に借金を清算するのではなく、債務者の生活を再生させることを目的としています。
債務者の生活を考える上で、マイホームは非常に重要なもの。住む場所が守れるかどうかによって、その後の生活へのモチベーションも大きく変わってくるでしょう。
借金問題を法律の力で解決へと導いたあと、自分自身の力で生活を立て直すために定められているのが、住宅資金特別条項なのです。
個人再生において、特定の条件を満たした場合にだけ、住宅ローン債権者のみを除外して手続きを勧められることを定めた条項。住宅ローン特則とも言う。
個人再生や自己破産では、全ての債権者を平等に扱う原則がありますが、この条項があるため、個人再生の場合は住宅を守ることが可能となっています。
個人再生で住宅資金特別条項を使った場合の返済について
個人再生で住宅ローン特則を使った場合、手続き後の返済はどうなるのでしょうか。
個人再生前と個人再生後、それぞれでわかりやすく解説します。
債権者A…4万円
債権者B…3万円 合計9万円+住宅ローン返済額13万円=返済合計22万円
債権者C…2万円
月々の返済額3万円+住宅ローン返済額13万円=返済合計16万円
個人再生前と個人再生後では、住宅ローン返済額こそ変化はないものの、その他の借金が大幅に減額されることで、月々の返済が楽になります。
住宅ローン特則を利用した場合の特徴は、以下のとおりです。
- 住宅ローン以外の借金は、ルールに基づいて減額される
- 住宅ローンの返済額は変わらない
- 減額された借金は、原則3年で返済する
住宅ローンとその他の借金返済、ダブルで苦しいと感じる方にとって、非常に助かる制度です。
住宅を手放すことなく、住宅ローン返済期間を延長できる!
住宅ローン返済額の負担が大きい場合、返済総額ではなく返済期間を伸ばすことができます。これも個人再生のメリットです。
返済期間を伸ばせば、毎月の返済負担は軽減されます。その他の借金の減額とも合わせて、生活を立て直しやすくなるでしょう。
ただし、たとえ住宅ローン返済のリスケジュールを行ったとしても、最終的に「返済できない」と判断されるようでは意味がありません。
住宅ローン特則を利用するための要件は複雑!
個人再生で住宅ローン特則を利用するために、クリアするべき要件は以下のとおりです。自分の場合は利用できるのかどうか、以下の項目を元に確認してみてください。
住宅建築・購入のためのローンを組み、分割返済中であること
住宅ローン特則の対象となるのは、住宅建築・購入のために組まれた住宅ローンで、現在分割返済中のものです。
住宅ローンは、途中で借り換えていても構いません。また住宅購入に関する諸費用ローンを組んだ場合、その扱いは状況によって変わってきます。
諸費用ローンの使用用途 | 特則の対象となる可能性 |
---|---|
住宅取得のために欠かせない税金や仲介料 | 比較的高い |
家具や家電 | 低い |
ローンの名目だけではなく、その用途まで細かくチェックされるというわけですね。
建物に銀行や保証会社の抵当権が設定されていること
住宅ローンを組んでも、建物に抵当権が設定されていないケースもあり、この場合も住宅ローン特則は利用できません。
たまにあるのが、抵当権が土地のみに設定されているケースです。この場合も、残念ながら特則の対象外となってしまいます。
不動産に、住宅ローン以外の抵当権がついていないこと
住宅の抵当権は、1社のみが設定しているとは限りません。
自宅に住宅ローン以外(たとえばカードローンなど)の抵当権が第2順位で設定されている場合、特則を使っても、第2順位の抵当権が実行されることが想定されます。
結局住宅を失うことになりますから、住宅ローン特則を使っても意味がないということになります。
本人所有であり、本人居住用の住宅であること
住宅ローン特則の対象にできるのは、本人が所有している住宅のみです。以下のようなケースでも、本人所有と認められます。
- 両親から相続で受け継ぎ、個人再生をする時点で自身の所有となっている家
- 配偶者と共同でローンを組み、購入した家
夫婦でペアローンを組んでいる住宅もあるでしょう。原則的に、ペアローンを組んでいる場合、住宅ローン特則を適用しての個人再生はできません。
住宅ローン特則を適用するには、抵当権がないことが条件となりますが、ペアローンは抵当権に当たるため対象外となります。
ですが東京地裁は、妻側の債務が住宅ローンのみで個人再生をする理由がない場合、夫側だけの住宅ローン特例を認めたという場合もあります。
また本人が居住する以外の目的で所有している住宅については、住宅ローン特則の対象外となります。
保証会社による弁済がスタートしてから、6ヶ月を経過していないこと
住宅ローンを支払えなくなり滞納が続くと、保証会社から代位弁済が行われます。
これはつまり、ローンの返済相手が住宅ローン債権者ではなく、保証会社になるということ。この状態でさらに6ヶ月経過すると、住宅ローン特則は使えなくなります。
個人再生で住宅を守るために…知っておくべき注意点2つ
個人再生で住宅を守りたいと思うのであれば、いつどのように手続きしてもOKというわけではありません。特に注意するべきポイントは、以下の2つです。
手続きは早めに行うことが大切
先ほどもお伝えしたとおり、住宅ローン滞納から時間が経過すると、住宅ローン特則は利用できなくなってしまいます。
専門家に相談するところから、実際に個人再生の手続きをスタートできるまで、物事がスムーズに進むとは限りません。だからこそ、できるだけ早く行動を開始しましょう。
無料相談を活用すれば、余計なコストもかかりません。個人再生を考え始めたら、素早い行動を意識してください。
入念な再生計画の準備が必要
住宅ローン特則を使って住宅を守れるのは、再生計画が認可された場合のみ。残念ながら不認可となった場合は、住宅は処分されてしまいます。
再生計画が不認可になる理由としては、
- 債務者側の手続きミス
- 遂行できる見込みがない計画案である
- 手続きや再生計画に重大な法律違反がある
といった点が挙げられます。
個人再生後の住宅ローン審査通過はほぼ不可能!
個人再生を行った場合、その事実は信用情報に「事故情報」として登録されます。一定期間はブラックリストに登録され、住宅ローンを組むことはできなくなります。
住宅購入時には、以下のような手段を検討してみてください。
- ブラックリストから情報が消されるまで待つ(5年~10年)
- 配偶者の名義で住宅ローンを組む
- 現金一括での購入を検討する
家族と相談の上、もっとも良いと思われる方法を選択しましょう。
個人再生したことは職場や周囲にバレる?
せっかく個人再生で自宅を守れたとしても、「周囲にバレてしまうと気まずい…」と感じる方も多いのではないでしょうか?
住宅を手放さなければ、表面的に見て、家族の生活に大きな変化は生まれません。個人再生をしたという事実が周囲に知られるリスクは、それほど高くはないでしょう。
ただし個人再生の場合、裁判所を通じて手続きを行うため、その事実が官報で公告されます。官報を定期的にチェックしている人は少ないですが、誰でも自由に見られる文書です。
そうした意味では、周囲にバレるリスクはゼロではないと言えるでしょう。
家計収支書では、家族の収入の明細書を提出する必要があります。明細書の発行を依頼した際に、「いったいなぜ必要なのか?」という疑問から、事態が明らかになってしまいがちです。
家族の今後の生活にも関わってくる問題ですから、最初からすべてを打ち明け、手続きに協力してもらった方が良いでしょう。
住宅ローン特則の特徴を知った上で利用しよう!
住宅ローン特則は、住宅ローンを支払っている方にとって非常に助かる特則です。
しかしこの特則を利用したからといって全ての問題がクリアできるわけではなく、
- 利用するとメリットが生まれるのかどうか
- そもそも利用できる対象に含まれているのか
といった点について、事前にしっかりと確認しておく必要があります。
まずは住宅ローン特則についての予備知識を頭に入れた上で、専門家に相談してみてください。不安解消につながるでしょう。
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