個人再生 2020/02/07
個人再生後の借金の遅延…返済できない!待ってもらえるの?その後起こること対処法
個人再生では、裁判所を通して借金を減額し、手続き中に提出した再生計画に則って返済していく制度となります。
返済期間の原則は3年。「もしも支払えなくなったらどうなるのだろう」と不安を抱える方もいるのではないでしょうか。
個人再生後、再生計画に基づいた返済ができなくなった場合に起きることやペナルティ、トラブルを避けるための対策について解説します。
Contents
延滞すると再生計画が取り消しされる可能性がある!
個人再生をするためには、減額後の借金をどう返済していくのか、再生計画を提出する必要があります。
再生計画とは、個人再生後3年間で、確実に借金を返済していくための指針となるもの。また裁判所が認めているため、拘束力が非常に強いという特徴があります。
再生計画が取り消された場合のデメリット
では延滞により再生計画が取り消しされると、具体的にどのような事態が生じるのでしょうか。
端的に言えば、
ということ。
個人再生が認められれば、借金は最大で1/10にまで圧縮されます。しかし再生計画が取り消しになれば、元通りの金額の借金を、改めて返済していくことになります。
しかし圧縮後の借金返済が難しければ、減額前の借金額を返済することは、まず不可能と言えるでしょう。
↓
【個人再生】
↓
返済が滞り、再生計画が取り消しになる
↓
【自己破産】
実際に、以上のような流れに沿って進んでしまう方も少なくありません。
- 個人再生で守れた住宅も手放さざるを得なくなる
- 個人再生時に必要となった時間や弁護士費用が無駄になる
こうしたデメリットも発生してしまいます。
再生計画取り消しの条件と流れ
再生計画の取り消しは、延滞発生後に自動で行われるわけではありません。
実際に取り消しを行うためには、残債の10分の1以上を占める債権者による、申し立てが必要。申し立てが行われて初めて、裁判所は取り消しの可否を検討し始めます。
ただし実際には、
- 債権者にとっても、裁判所への申し立ては手間がかかる
- 時間がかかる
- 債務者が破産手続きに移れば、債権回収が難しくなる
- 申し立てができる債権者は限られる
上記の理由により、1回延滞が発生したぐらいで、再生計画取り消しへと動く業者は稀だと言われています。
強制執行による取り立てのリスクも…
個人再生後に延滞が発生した場合、債権者側が強制執行により、借金を返済させることも可能となります。
再生計画の申し立てができる条件に当てはまらない業者は、こちらの手段を取ってくる可能性が高いと言えるでしょう。
強制執行までの流れは以下のとおりです。
↓
債権者による簡易訴訟や支払督促
↓
債務名義の取得
↓
強制執行の申し立て
↓
強制執行
個人再生のメリットの一つは、強制執行を止められること。しかし延滞が発生すれば、こちらのメリットもなくなってしまう可能性があります。
延滞する可能性があれば、早めの行動がカギ!2つの対処法
個人再生後は、延滞せずに着実に返済していくことが大切。しかし現実には、どうしようもない事情によって、返済が難しくなってしまうケースも存在しています。
- リストラ
- 長期間の入院
- 家族の病気
- 突然のケガ
- 勤め先の廃業
- 給料の大幅カット
このような場合には、早めに動くことでトラブルを予防できる可能性があります。具体的な対処法は以下の2つです。
再生計画の変更
どうしようもない理由で個人再生後の返済が難しくなった場合には、再生計画の変更が認められるケースがあります。
- 借金返済額は変えない
- 返済期間を最大で2年間延長する
という特徴があります。
再生計画の延長をしたい場合には、まず裁判所に再生計画変更申立書を提出。申し立て内容に基づき、債権者の意見も参考にしながら裁判所が変更の可否を決定します。
返済期間が長くなるだけと、返済額そのものに変更がない点から、債権者側にとっても受け入れやすい対処法と言えるでしょう。
ただし、再生計画の変更は、やむを得ない事情があった場合にのみ認められるもの。
- 買い物依存
- ギャンブル
これらの理由による変更は、認められません。また弁護士等に依頼する場合、個人再生時と同様のコストが発生してしまいます。
ハードシップ免責の利用
一定の条件を満たしている場合に利用できるのが、ハードシップ免責です。
個人再生後の返済が難しくなった際に、一定の条件を満たしている場合、残りの債務の支払いの免除を認める制度のこと
ハードシップ免責を利用することができれば、たとえ返済が難しくなっても、自己破産を免れることができます。
ただし、ハードシップ免責を利用するためには、以下の条件を満たす必要があり、決して簡単ではありません。
- 再生計画で定めた債務の3/4以上をすでに返済している
- 返済が難しい理由が、債務者の責任によって生じたものではないこと
- 再生計画の変更をしても、返済できる見込みがないこと
- ハードシップ免責の決定が、債権者一般の利益に反しないこと
現実に、これらの条件を満たせる債務者は、ごくわずかです。もしも、ごくわずかな枠の中に入れるとしたら、メリットだけではなくデメリットにも目を向けて決定しましょう。
- 自己破産と同様に、返済義務がなくなる
- 自己破産のように、職業や引っ越しなどで制限は受けない
【ハードシップ免責のデメリット】
住宅ローンが除外されない
(住宅ローンの残債が免責され、債権回収のため、住宅が競売にかけられてしまう)
生活は確実に楽になりますが、個人再生でせっかく守った住宅を、失うことにもなりかねません。慎重に決定しましょう。
延滞発生にはリスクがたくさん!個人再生の再生計画は慎重に!
せっかく個人再生をしても、その後の返済で延滞が発生すれば、全てが無駄になる可能性があります。
だからこそ重要なのが、個人再生時の再生計画は、余裕を持って慎重に立てるということです。毎回の支払い額は、無理のない範囲で設定しましょう。
個人再生を考え始めたら、できるだけ早いタイミングで専門家へと相談することで、自分にとってベストな債務整理の方法も選択しやすくなります。
個人再生の再生計画についても、余裕を持ってじっくりと検討できるのではないでしょうか。
また実際に、「個人再生をしたけれど、すでに返済で困っている…」という場合も、できるだけ早く専門家へと相談しましょう。
早い段階で相談できれば、その後の選択肢の幅も広がるはずです。
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