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借金・債務について 2023/04/13

親や子の借金を肩代わりする義務は?贈与税がかからない対策方法

子供に泣きつかれて借金の肩代わりを依頼されたとき、どうしますか?

子供が借金の返済に悩んでいることを知ったら、親としては助けてあげた方が良いのでは?自分が親として返済する必要があるのでは?と考えてしまうかもしれません。

しかし、借金を肩代わりする際には贈与税が発生してしまう可能性があります。

知らずに肩代わりをしてしまうと、後で問題になるかもしれないのです。ただ、この贈与税は特定の条件さえ満たせば、かからなくすることは出来ます。

今回は、そもそも借金を肩代わりする必要はあるのか、という点を含めて、そのメリットとデメリットをご紹介していきます。

借金は親でも肩代わりする義務はない!借金は基本的には契約者にのみ返す義務が生じるが、例外もあるので確認を!

借金の返済は、契約をした本人にのみ返済義務があります。

契約者の親や家族であっても、代わりに返済する義務はなく、肩代わりをする必要はないのです。

親だから、と返済を求めてくる貸金業者がいた場合は、違法な取り立てとなりますので応じる必要はありません。すぐに警察や弁護士、司法書士に相談しましょう。

代わりに返済しなければいけない4つのケース

基本的には、家族であっても借金を変わりに返済する必要はありません。しかし、借りたお金を返す義務が借り入れ名義人だけでなく「第三者」にも生じることがあります。

4つのケースについて、チェックしておきましょう。

1.連帯保証人になっている
借入名義人が返済できなくなった際に、代わりに債務を負う。
2.連帯債務者になっている
借入名義人と同じ立場にあり、契約時点から返済義務が発生している。
3.保証人になっている
借入名義人が返済できなくなった場合、代わりに債務を負う。ただし、借入名義人に返済能力がある場合は、借入名義人から取り立てるよう主張することができる
4.相続した
相続は、資産だけでなく債務も対象となるため、借金も相続することになる。相続した借金は、返済する義務が生じる

保証人になると代わりに借金を返さなければいけない、と漠然と知っている方もいるかもしれませんが、【保証人】には3つの種類があります。

どの種類の保証人になるかによって、借金を代わりに支払う義務が生じるかどうかが決まるので、保証人を頼まれたら慎重に検討しなければいけません。

借金の肩代わりで贈与税が発生する理由

やはり自分の子供のことになれば、代わりに返済してあげたいと考える方もいるでしょう。確かに、借金を代わりに返す義務はありませんが、自分が望んで肩代わりするのは自由です。

ただ、借金を肩代わりすると贈与税が発生します。

贈与税とは
個人から現金やマンションなどの資産を受け取った時に発生する税金のこと。1月1日から12月31日までの1年間での贈与が110万円を超える場合、その額に応じた税金を支払う
借金の肩代わりが110万円以上になると、その金額を贈与したとみなされ、贈与税の対象となってしまうのです。

また、贈与税は特定の1人から1年間で受け取った金額ではなく、1人が受取った総額に対して発生するものです。

パターン 立て替えてもらった相手
立て替え金額
合計額 贈与税対象
Aから100万円 100万円 ×
Aから150万円 150万円
Aから50万円
Bから50万円
100万円 ×
Aから50万円
Bから60万円
110万円

複数人に借金を肩代わりしてもらって、その合計が110万円以上になれば贈与税が発生してしまいます。

肩代わりは、借金額が大きくなって支払えなくなって検討するもの。しかし、借金の金額が大きくなれば、代わりに返済してもらうことによって贈与税の対象となる可能性が高いことを覚えておかなければいけません。

具体的に贈与税はいくら発生する?計算方法の紹介

年間で贈与を受けた合計額から110万円を引いて残りの残高に対し、贈与税率をかけて計算します。

贈与税率は、2種類あります。

  • 特定贈与財産…親や祖父母な直系尊属から20歳以上の子、または孫への贈与
  • 一般贈与財産…上記以外の贈与
28歳の子供の借金350万円を親が肩代わり(贈与)をする場合、税率15%、基礎控除10万円で計算します。

(350万円-110万円)×15%10万円=26万円
この場合、贈与税は26万円ということになります。

贈与税がかからないようにするための方法

借金の肩代わりが課税対象になることをご紹介しましたが、贈与税がかからないようにする方法はあります。

2つの対策方法をご紹介しましょう。

1.借金した本人に返済能力が無い
本人に財産がなく借金を返済できるだけの能力が無い、資産がない場合は、贈与税は発生しません。しかし、少しでも財産があれば、(贈与金額ー財産)の金額に対して贈与税が発生します。
2.贈与ではなく貸し借りとする
肩代わりではなく貸し借りであれば、贈与の対象とはなりません。ただし、貸し借りであることを証明するために、口約束ではなく書類の作成などを行っておく必要があります。

肩代わり分を「貸し借り」だと証明するために金銭消費貸借契約を結ぼう!

親から借りただけです、と言うだけで贈与税を免除できるわけではありません。

貸し借りであることを証明するために、きちんと金銭消費貸借契約を結んでおきましょう。この契約を結ぶことで、贈与ではなく貸し借りであることを示すことができます。

契約書には以下の点を忘れずに明記しなければいけません。

  • 日付
  • 金額
  • 利息
  • 返済方法
  • 返済期間

親子で借金を肩代わりしてしまうと、利息や返済期間を設定しない、もしくは設定しなくても良いのでは、と考えてしまうかもしれません。

お金を貸すということは、返してもらうことを前提としています。返してもらうのに返済期間を設けないのは不自然であり、贈与とみなされてしまう恐れがあります。

また、本来であれば借りたお金には利息が発生します。無利息での借入となれば、利息分の金額が贈与されていると判断される可能性があるのです。

設定利息については、利息制限法における年15%~20%を超えないように設定すれば大丈夫です。家族間でのやり取りになるので、利息を低く設定しても問題ないでしょう。

貸し借りとする場合は返済を口座振り込みにするのがオススメ

きちんと返済していることを示すためには、手渡しや日記、家計簿といったものより、口座振り込みをして通帳に残しておくことが望ましいですね。

返す際には返済日や返済金額をしっかりと残すことが出来ますし、借りるときも口座に振り込んでもらうことでその金額を借り入れしたことを示すことができます。

契約書を作成しても贈与が疑われる場合も

ただし、きちんと契約書を作成しても贈与税がかかる恐れがあります。

それは、肩代わりしてもら金額が明らかに返済能力を超えている、返済できないと思われる金額である場合です。

返せない金額のお金を貸すというのは、明らかに不自然です。贈与と疑われても仕方がありません。

また、親から借りているという前提の借金返済を途中で中断する、残額を帳消しにするようなことをしてしまえば、残った金額に対して贈与税が発生することになります。

更に、発生した贈与税を自分ではなく親に立て替えてもらった、支払ってもらった場合も、それは贈与扱いになってしまうので注意が必要です。

ところで…家族や恋人に借金があることを打ち明けるべき?

借金問題は、非常にデリケートです。自分が毎月の返済に追われていることを、大切な家族や恋人に打ち明けるべきなのでしょうか。

借金があることを打ち明けることは、隠し事がなくなってスッキリする、借金返済のために日々の生活や支出の管理をしてもらうことができる、というメリットがあります。

返済をするためには、返済資金を毎月確実に用意することが求められます。日々の浪費を絶つ、新たな借り入れをしないなど、チェックしてもらうことで返済資金を確保することに繋がるのです。

ただ、その一方でいくつかのデメリットも生じてしまう恐れがあります。

  • 家族の空気が悪くなる
  • 恋人と別れる
  • 結婚が延期になる

借金があると聞けば、まず相手は戸惑うでしょう。その金額は?返済目途は?何の目的で出来た借金なの?質問責めに遭うことになります。

完済の目途が立っていれば大きな問題にはならないと思われますが、もし長期に渡り返済が続いていて、その返済が負担になっているのであれば、家族や恋人との距離が出来てしまう恐れがあります。

借金があることを告白するのであれば、今後の返済の見通しや家族・恋人に影響するものなのかどうかについても説明することが大切になるのです。

借金があることを黙っておく、という選択もできますが、後からバレてしまったときに印象が悪くなったり、取り返しがつかなくなってしまう可能性があることを覚悟しておかなければいけません。

自分の借金が家族や恋人に与える影響

借金は第三者に返済義務はないので、借金先から家族や恋人への取り立てが行われることはありませんし、これから結婚して夫婦になったとしても、自分が契約者ではない借入金を返す必要はないのです。

ただ、家族や恋人にまったく影響がない、というわけでもありません。

余裕資産が作れない可能性がある
毎月一定額を返済に充てなければいけないため、将来のための資金や子どものための貯金ができない可能性があります。
債務整理で資産を失う可能性がある
将来借金返済が厳しくなった場合、債務整理を行う可能性があります。自己破産になった場合は、一定の資産を手放さなければいけないので、車・家を失う恐れがあります。また、債務整理を行うことでブラック扱いになります。
自分の死亡後に借金を相続させてしまう
借金などの債務も、相続対象となります。死亡した場合は相続人が借金の返済義務を負うことになりますので、相手に迷惑をかけることになるでしょう。
借金は自分にしか返済義務がないとは言っても、返済に追われることで家族・恋人に迷惑をかけてしまう場合もあるのです。

更に、今ある借金が生活費目的、娯楽費目的だとすれば、今後も借金を繰り返す恐れがあると考えられます。

今ある借金が更に増えることのないよう自制し、そして確実に完済できるよう計画的な返済を心がけなければいけません。そしてもし返済が難しいようであれば、借金を減らせるかもしれない救済措置「債務整理」をすることも検討してみましょう。

債務整理をすると今後の生活はどう変わる?

債務整理をすれば、今ある借金額を減らすことができます。どれだけ減らせるかは、無料の借金減額シュミレーターを使うと便利ですよ!

でも、債務整理をすると今後の生活に大きな支障が出るのではないかと考えて、なかなか実行できない方もいるかもしれません。

債務整理には3つの方法があります。任意整理、個人再生、自己破産を行った場合は、個人信用情報機関に事故情報が5年~10年登録されてしまいます。

これが俗にいうブラックリスト扱いで、新規クレジットカードの作成やローン審査通過が出来なくなってしまうのです。

また、法定利息を超えて返済をしていた差額を返還してもらう過払い金返還請求を行って、借金額を減らす人もいるでしょう。

この場合は、手続き後の借金残額の有無によって今後の生活がどうなるかが異なります。

過払い金請求後の借金残額 個人信用情報機関への登録
あり 債務整理扱いとして登録
登録期間はクレジットカード作成、ローン審査通過不可
なし 登録なし
今後の生活への影響はない

住宅購入や事業の為に融資を受けたいという方にとって、債務整理は大きな影響が出るかもしれません。

ただ、事故情報は一定の期間が経過すれば削除されるものです。

任意整理や個人再生をした場合は、3~5年間は毎月の返済が続きます。ここで延滞をすると、借金が元の金額に戻る恐れがあるため確実に返済するようにしたいですね。

債務整理経験は離婚事由にならない

任意整理や自己破産は、離婚要件にはあたりません。借金解決のための手段として行った行為となるため、婚姻の継続が困難な事由とは認められないのです。

ただ、離婚は協議離婚と言って、双方の合意を得ることで成立する物でもあります。

債務整理を行ったことで相手の気持ちが自分から離れてしまった場合は、今まで通りの結婚生活を送るのは困難になるかもしれません。

債務整理は結婚前がオススメ

借金返済に悩んでいるだけでなく、結婚についても考えている場合は、債務整理のタイミングについて結婚前と後、どちらにすべきか悩んでしまうかもしれません。

でも、債務整理はするとなれば少しでも早いほうが良いです!「結婚前」にすべきです。

債務整理をすることで、家計への負担も少なくなり生活も安定します。また、弁護士に依頼すれば、結婚相手に知られることなく債務整理をすることも可能です。

ただ、債務整理をするとその後のローン審査などに影響を及ぼしますので、そこから相手にバレてしまうこともあります。

債務整理をしたことを相手に告げる場合は、借金を減らすために認められている手段であること、信用情報に影響が出るのは自分だけであること、債務整理をしなければ借金返済に今よりも苦しむことになったことをきちんと説明しておきたいですね。

借金は、肩代わりでなく貸し借りにすれば贈与税対象外になる!

大切な人が借金で苦しんでいると、代わりに支払ってあげた方が良いのでは、と考えてしまうかもしれません。また、借金で苦しんでいるときに家族に助けを求めてしまうことがあるかもしれません。

しかし、借金を肩代わりして全額返済した場合、その金額によっては贈与税がかかります。借金がゼロになっても、贈与税の支払いが発生してしまうのです。

ただ、贈与ではなく貸し借りであれば贈与税はかかりません。

その際は、親しい間柄であっても必ず金銭貸借契約書(借用書)を作成するなど貸し借りである証拠を作り、口座振り込みによる返済をして返済実績が残るようにしておきましょう。後々の金銭トラブルを防ぐために必須です。

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