借金・債務について 2019/12/25
緊急時には会社から借金も可能!資金使途や利息に注意して活用しよう
困った時に借金をする先の一つに、会社があります。
会社と個人間でお金の貸し借りをする場合、資金使途や利息などに気をつけなければいけません。
では、注意点をまとめて確認しましょう。
Contents
緊急の時に利用できる!会社の制度を利用してお金を借りる方法
理由によっては、会社からお金が借りられる場合もあります。
福利厚生として従業員貸付制度が利用できることも
会社によっては、福利厚生の一環として従業員貸付制度(社内貸付制度・社員貸付制度などと呼ばれることも)が取り入れられている場合があります。
会社ごとに、貸し付けの条件は異なります。
- 従業員貸付制度
- お金のトラブルを抱えることなく従業員が安心して働けるように会社が貸し付けを行う制度
福利厚生の一環で利益目的ではないので、金利が低いことがメリットです。
利用する場合の注意点を、確認しましょう。
- お金の利用目的が限定されている
- 勤続年数や雇用形態によっては利用できないことがある
- 完済前に退職すると一括返済を求められるのが一般的
- 即日の借り入れはできないことが多い
- 多額のお金は借りられない
- 昇給や昇進に悪影響なことも
- 連帯保証人が必要なことも
福利厚生のための制度なので、資金使途が限定されているのが一般的です。
- 疾病
- 慶事
- 教育
- 介護
- 災害
- 自己啓発
- 余暇利用
今月の生活費が足りないといった理由では、利用できません。
会社ごとに定められた基準で勤続年数・雇用形態・勤務態度などを考慮して貸し付けを行うので、場合によっては制度が利用できないこともあります。
- 返済方法に関する注意点
- 給料から天引きする返済方法は、借りた人の同意がなければ違法とみなされるリスクもあるので、会社によっては天引きによる返済ができない場合もあります。
会社が従業員にお金を貸す時の利率
国税庁によって、会社が従業員にお金を貸す場合の利息が決められています。
- 会社が銀行などから借りて貸しつけた場合はその借入利率
- それ以外は貸しつける日が属する年に応じて定められている利率
それ以外の場合の利率とは、どれくらいなのでしょうか。
年度 | 利率 |
---|---|
平成27年・28年中 | 1.8% |
平成29年中 | 1.7% |
平成30年中 | 1.6% |
令和元年中 | 1.6% |
これらの例のように年によって利率が異なり、過去には4.5%や4.3%などの高い設定になっていた時期もあります。
- 適正利率より低い利率で会社がお金を貸した場合
- 適正利率より低い利率で貸した時との差額が給料の扱いとなり、課税される。そのため、適正利率またはそれより高くなるように設定されるのが一般的。
ただし、もっと低い利率または無利息で貸し付けても課税されない場合もあります。
- 病気や災害などが理由の際に合理的な金額・返済期間でお金を貸す場合
- 会社の平均調達金利などを元に理的な利率を定める場合
- 決められた利率で貸した場合と実際に支払う利息の差額が年5,000円以下の場合
賃金の非常時払いの制度を利用して早めに給料を受け取る方法も
- 疾病
- 出産
- 災害
- 結婚
- 死亡
- やむを得ない事情での一週間以上の帰郷
- 賃金の非常時払いでは働いていない分の給料の受け取りは不可!
- 借りたお金の分だけ必ず働かなければならず、退職や転職したくてもできないことから、強制労働に当たると見なされるためまだ働いていない分の給料を前借りすることはできない。
社長が会社から借り入れをする場合の注意点
社長が会社からお金を借りる場合、借入金が社長に対しての賞与とみなされて所得税や住民税がかかる・会社にとっての利益相反行為とみなされるなどの不利益がありますので、注意しましょう。
- 議事録・金銭消費貸借契約書を作成する(取締役会などがある会社の場合)
- 契約書を作成する
- 約束に基づいて利息をつけて返済をする
役員や株主がいる会社では、会議を開いたうえで議事録・金銭消費貸借契約書を作成します。社長のみやその親族のみがオーナーの会社では、契約書をきちんと作成して返済しましょう。
適正な利息をつけることも必要です。
- 利息なしで借りるデメリット
-
- 会社の利益の計上漏れになる
- 利息部分の金額を役員報酬として受け取った扱いになる
適正な利率とは、従業員に貸し付ける場合と同じです。
会社から望まない借金をしている場合は正当性があるかを確認して
自分の意思で申し込んだのではなく、クレームの責任を取らされ損害分のお金を請求されたなどの理由で借金を背負っている人もいます。
本当に社員が全額支払わなければいけないのか疑問もありますので、このような場合は専門家に相談してみましょう。
会社からお金を借りた状態で債務整理!会社からの借金の扱いは?
債務整理をすると、会社からの借金も返すことができなくなるのでしょうか。
任意整理なら会社に返済することが可能
関係性を悪化させないために会社にだけは借金を返済したい場合、任意整理・個人再生・自己破産の中から『任意整理』を選びましょう。
- 任意整理とその他の債務整理との違い
- 任意整理は、債権の一部だけを対象にすることも可能。個人再生や自己破産では債権者を平等に扱わなければ免責が認められないこともあるため、手続きに入ったら会社にも返済できなくなる。
任意整理では対応できない場合の対処法
会社への返済を済ませてから個人再生や自己破産の手続きに入れば、会社に知られることも返済ができないこともありません。
すべての手続きが終わってからなら自分の意思で返済することも認められていますが、手続き中に返済することは絶対に避けましょう。
- 減額や免除が認められなくなる
- 刑事罰が科されることも
会社にお金を貸す場合は書類の作成と利息の取り決めに注意
個人が会社にお金を貸す場合は、どのような扱いになるのでしょうか。
会社にお金を貸す場合は書類の作成を忘れずに
口約束でお金を貸すと返済でトラブルになる可能性がありますので、金銭消費貸借契約書を作成して証拠を残しましょう。
- 会社に貸し付ける金額
- 融資をした日付
- 契約書の作成日
- 返済方法
- 返済期日
- お金を貸した人と会社の住所・氏名や名称の記載と押印
無利息でも構いませんし、適正な利息をつけることも可能です。
適正な利率は、以下のように決めます。
- 個人が銀行などから借りて貸しつけた場合はその借入利率未満
- それ以外は前年の11月の日銀基準割引率に4%を足した利率未満
会社が破産したら貸したお金が回収できない!保証人をつけよう
個人が会社に貸す場合、会社が破産したらお金を回収することができない可能性があるので注意しましょう。
貸した相手が株式会社の場合、会社の責任は役員には行かないので、会社が破産すると返済してもらう手立てがありません。
- お金が戻ってこないリスクを軽減する方法
- 代表者に連帯保証人になってもらい、証拠を書類にして残す。公正証書を作成しておくと、より安心感がある。
社長や役員が会社にお金を貸す場合の扱い
社長や役員が会社にお金を貸す場合、どうすればいいのでしょうか。
- 役員がいる会社では取締役会議の承認を得る
- 利息をつけるかどうか決める
- 金銭消費貸借契約書を作成する
個人が貸す場合は、利息はつけなくても問題ありません。
利息をつける場合について、見てみましょう。
適正利息での貸付 | 適正な利息より高い利息での貸付 |
---|---|
受け取った利息が雑所得扱い | 適正な利息分は雑所得扱い それを超える分の利息は役員給与扱い |
会社に貸しているお金は相続財産として扱われますので、貸している人が亡くなった場合は貸付金額に対して相続税が発生します。
預金など現金を持っていない場合は相続税の支払いに困ることも考えられるので、注意が必要です。
緊急の理由があれば会社からの借金も可能!使える制度を活かそう
出産や病気などの緊急の理由があれば、従業員貸付制度や給料の非常時払いの制度を利用して会社からお金が借りられることもあります。
金利が低いメリットがあるため、活用できるようであれば利用してみましょう。
会社にお金を貸す場合は、保証人をつけて書類を作成し、証拠を残しておくことが大切です。
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