借金・債務について 2019/12/25
保証会社が借金を支払う代位弁済に伴う7つのリスクと対策法を確認
借金を滞納していると、保証会社が借り入れをした人の代わりに借金を借り入れ先に支払うという、代位弁済が行われることがあります。
代わりに払ってもらったのだからそれでいいと思われがちなのですが、それで借金返済の義務がなくなるわけではなく、さらに代位弁済には7つのリスクも伴います。
そこで代位弁済とはどのような時に行われるのか、どのようなリスクがありどう対処すればいいのか、詳しく確認しましょう。
Contents
保証会社に借金を支払ってもらう代位弁済を詳しく知ろう
最初に、代位弁済とは何か、詳しく確認しましょう。
代位弁済とは保証会社が借金を代わりに返済すること
借金の滞納が続いて借り入れをした人からのお金の回収が難しいと判断されると、代位弁済が行われます。
- 代位弁済
- 借り入れをしている人の代わりに保証会社が返済を行うこと
銀行のカードローンやクレジットカードによるキャッシング、住宅ローンなどを組む場合、保証会社がついているのが一般的です。その保証会社が、借り入れをした人の代わりに借金の支払いをします。
代位弁済が行われても支払い義務はなくならない!
代位弁済が行われたからといって借金の支払い義務が無くなるわけではなく、それ以降は代わりに借金を支払ってくれた保証会社に対して支払いをしなければいけません。
代位弁済が行われた場合、以下のような形で連絡があります。
- 借り入れ先から代位弁済通知が届く
- 保証会社から代位弁済通知が届く
借り入れをしている先と、借金を代わりに支払った保証会社両方から通知が届くことで、今後は保証会社に対して支払いを行う必要があることがわかるのです。
代位弁済に至るまでの流れ
借金を1回でも滞納したらすぐに代位弁済が行われるのではなく、代位弁済に至るまでの流れがあります。
- 督促状・催告書が送られる
- 期限の利益の喪失予告通知が送られる
- 期限の利益の喪失通知が送られる
- 代位弁済通知が送られる
まずは、指定されている日までにお金を返すよう求める督促状や催告書が送られてきます。それでも支払いをしないと、期限の利益の喪失予告通知が届きます。
- 期限の利益
- 返済期限が決められていることで分割払いで余裕を持って返済ができる
期限の利益が喪失するとは、借金を分割払いする権利を失い、一括で返済する義務を追うことを言います。
代位弁済が行われる前には、借金を分割払いする権利を失うことを予告する通知が届き、それでも返済が無い場合に権利が無くなったことを示す期限の利益の喪失通知が届くのです。
そして、求められた期日に一括払いができないと代位弁済が行われ、代位弁済通知所が届くという流れになります。
代位弁済と債権譲渡との違い
代位弁済と同じように、借り入れ先ではなく別の会社に返済をする場合として、債権譲渡もあります。
借り入れ先の対応 | 内容 |
---|---|
代位弁済 | 保証会社に借金を代わりに支払ってもらう |
債権譲渡 | 債権自体を譲り渡す |
債権譲渡は、保証会社ではなく、法務大臣の許可を取って債権の回収を専門に行っている債権回収会社に債権そのものを譲り渡す方法です。
代位弁済と時効の関係
借金には時効があり、5年または10年で時効が成立し借金の支払い義務がなくなります。ですが、借り入れ先が返済を求める行動を起こすことで時効は中断し、最初から期間を数え直すことになります。
代位弁済が行われると、お金を返してもらうための行動を起こしたことになり時効が中断するので、注意が必要です。
もともと時効を成立させるのはとても難しいので、時効の制度を活用しようと思う場合には慎重にならなければいけません。
要注意!代位弁済に伴う7つのリスクを確認
代位弁済には、主に7つのリスクが伴います。では、詳しく確認しましょう。
サービスが利用できなくなる!
代位弁済が行われたということは、借りたお金が返せないとみなされたことになります。そのため、借り入れ先からそれ以上お金を借りることができませんし、クレジットカードの場合はカードも利用できなくなります。
クレジットカードが利用できなくなった場合、カードで公共料金などの支払いをしているとそちらも滞納することになりますので、注意しましょう。
借りたお金を利息も含めて一括払いする必要あり
先ほども確認したように、代位弁済が行われるとお金を分割で支払う権利を失うので、以下のものをすべて含めた金額を一括払いしなければいけません。
- 元本
- 利息
- 遅延損害金
遅延損害金とは、支払いが遅れた場合に日割りでつく、余分に支払わなければいけない利息のことです。
遅延損害金は、通常の利息よりも高い金利になっているのが一般的です。
代位弁済後も遅延損害金は発生し続ける!
遅延損害金は代位弁済が行われる前にも発生しますが、代位弁済が行われた後も返済するまでずっと発生し続けます。
そのため、返済するのが遅くなればなるほど、返済しなければいけないお金が増え続けることになるのです。
一括返済できなければ財産の差し押さえへ
- 手取りの4分の1までの給料
- 売掛金
- 現金
- 預貯金
- 株券
- 保険の解約返戻金
- 自宅などの不動産
- 時計・貴金属・車など換金価値があるもの
給料を差し押さえられる場合、勤務先に裁判所から連絡が入ることになります。
自宅が競売にかけられることも
住宅ローンを滞納している場合のように自宅を担保にしていると、自宅が競売にかけられることもあります。また、自宅を担保にしていなくても、借金の金額が自宅の価値に見合う場合、自宅が差し押さえられて競売にかけられる可能性もあります。
自宅が競売にかけられることには、以下のようなデメリットがあります。
- 自宅に住めなくなる
- 通常よりも安い価格でしか自宅が売れない
- 買い手を選ぶことができない
- 引越しのための費用が出ない
- 競売にかけられていることが官報に情報として載る
- 自宅を売却しても借金が残った場合その金額は一括払い
官報に競売にかけられている住宅の情報が掲載されるので、周囲に競売のことが知られてしまう可能性もあります。
競売の場合、通常よりも安い価格で住宅が売られることが多いので、自宅を売却しても借金を全額返済できないことも考えられます。その場合、残った借金は一括で返済しなければいけません。
保証人を立てている場合保証人にも請求が!
お金を借りる時に保証人を立てている場合、保証人にも借金の返済の請求が行きます。
そうなると保証人に迷惑をかけてしまうことになるので、きちんと話し合いをしておきましょう。
ブラックリスト入りするので借り入れができなくなる
代位弁済が行われると、その事実が個人信用情報機関という機関に客観的な事実として登録されます。
この状態のことを例えてブラックリスト入りすると言うのですが、ブラックリスト入りするとこれまでに借金を返せなかった事実があることがわかるため、信用を失いお金を借りることすべてに悪影響が出ます。
- ローン全般が利用できない
- クレジットカードが使えなくなり新しく作ることもできない
- 分割払いや信販会社を通す支払いができない
- 保証人にはなれない
ローン全般には、カードローンや消費者金融からの借り入れのように無担保のローンも、教育ローン・マイカーローン・住宅ローンなどのローンもすべて含まれるので、要注意です。
また、スマホの端末料金・エステ・ジム・英会話教室の支払い・教材費など、分割払いをしたり信販会社を通して支払いをしたりする形で利用するシステムになっている場合、それらの購入や利用ができません。
リスクが大きい代位弁済!対策法を知って影響を減らそう
代位弁済には、様々なリスクが伴います。そこで、対策法を知ることで影響を減らす方法を確認しましょう。
借り入れ先との交渉で借金の完済を目指す任意整理
さらに、支払い過ぎている利息がある場合は、その額を元本から引く計算も行われます。
任意整理をする際には、以下の点に気をつけましょう。
- 返済の意思があることを伝える
- 借り入れ先が納得できるような返済計画書を作る
- 任意整理をした情報が個人信用機関に残る
これまでに返済ができていない事実があって代位弁済が行われているので、簡単に相談に応じてもらえないことは確かです。そこで、現在の収入や可能な月々の返済額などをきちんと伝えて納得してもらえるように、返済計画書を作っておくことが大切です。
とはいえ、専門家ではない人が交渉を行うのはとても難しいので、専門家に依頼することをお勧めします。
任意整理をすると個人信用情報機関にその情報が残りますので、一定の期間借り入れに関すること全般に影響が出ます。
銀行カードローンや銀行の住宅ローンを滞納している場合、任意整理を始めると口座が凍結されて入出金ができなくなりますので、以下の手続きを忘れずに行っておきましょう。
- 預金をすべて引き出しておく
- 給料を振り込んでいる場合は振込先を別の銀行にする
- 公共料金などの引き落としをしている場合は別の銀行からにする
任意整理以外の債務整理の方法
任意整理は債務整理の方法の中の一つで、裁判所を通さずに行うことが特徴です。債務整理には、それ以外にも以下のものがあります。
債務整理の方法 | 特徴 |
---|---|
個人再生 | 裁判所を通して借金の減額をする 住宅を手放さなくてもよい |
自己破産 | 裁判所を通して借金が支払えないことを認めてもらう 財産を手放す必要がある 職業によっては資格制限を受けることも |
状況によってはこれらの方法を取った方がいい場合もありますので、専門家の判断を仰ぎましょう。これらの方法を取った場合も、個人信用情報機関にその情報が掲載されます。
住宅ローン滞納で自宅が競売にかけられる場合に有効な対策法
自宅が競売にかけられそうな場合、以下のような方法で対処できることもあります。
- 自宅の任意売却
- 住宅ローンの巻き戻し
自宅の任意売却とは、自宅が競売かけられる前に借り入れ先の合意を得てローンの返済ができていない自宅を売却する方法で、競売よりも高い価格で売れる・住宅の買い手が選べるなどのメリットがあります。また、売却した後にその不動産を賃貸して同じ家に住み続ける方法もあります。
住宅ローンの巻き戻しとは、法的な手続きによって代位弁済が行われる前に戻す方法です。保証会社に移っていた債権が借り入れ先に戻り、これまでと同じように分割払いで住宅ローンを支払うことができます。この方法を利用するためには、以下の条件を満たしている必要があります。
- 代位弁済が行われてから6か月以内に申し立てをする
- 裁判所から個人再生を行う認可を得ている
- 返済できる能力がある
- 住宅が自分の名義である
ただし、制度上は6か月以内の申し立てが認められていても、競売の手続きが開始されると競売を止めることができませんので、代位弁済通知が届いたら1か月くらいの間に申し立てを行いましょう。
可能であれば親族を頼る方法も検討しよう
代位弁済が行われると一括での返済が求められ、それが不可能だと財産が差し押さえられます。
そのリスクを回避し、さらに遅延損害金の発生も避けるために、一時的に親族から借り入れをして分割で返済する方法も可能であれば検討したいところです。
様々なリスクがある代位弁済!早めに専門家に相談して対策を
代位弁済には、一括払いが求められる・遅延損害金が発生する・財産が差し押さえられる場合もあるなど、様々なリスクがあります。
代位弁済が行われるまでにはいくつかのステップがありますので、返済が難しいと思った時点で早めに専門家に相談し、対策する方が安心です。
- 北海道
- 東北
- 関東
- 北陸・甲信越
- 東海
- 関西
- 中国
- 四国
- 九州
- 沖縄