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自己破産 2019/12/09

自己破産前に知っておくべき【免責】を徹底解説

自己破産について、借金が免除される制度だと認識している方は多いかもしれません。しかし、そうとは限りません。

実は、自己破産で借金をゼロにするためには【免責】を認めてもらわなければいけないのです。

免責とは何か、認められる条件とは、そして、免責されない借金があるのかどうか、自己破産前に絶対にチェックしておきたい情報を徹底解説します。

自己破産最大の目的【免責】とは

免責とは
借金などの債務支払い義務がなくなることです。免責許可は、裁判所によって確定されます。

免責が確定すれば、債権者から請求や取り立てが来ても、拒絶することが出来ます。

自己破産は、この免責許可を確定することを最大の目的として行われるのです。

「自己破産をすれば借金がゼロになる」は間違い

自己破産には、2つの手続きがあります。

手続き 内容
破産手続き 財産額などを調査し、一定以上の資産・財産を処分・換価して
債権者に配当する
免責手続き 借金の理由や経緯を調査し、支払い義務を免除するかどうかを決定する

今ある資産・財産を差し押さえて債権者に平等に配当しますが、それでも借金が残った場合、残額については強制執行可能な状態にあります。

自己破産自体は借金をゼロにする制度ではなく、破産手続きを行っても残った借金について免除してもらうためには別途免責手続きが必要となるのです。

とは言っても、現在は破産手続きを申し立てると免責手続きも同時に行われるのが一般的です。

自己破産で全ての財産が処分されるわけではない

自己破産をす売ると無一文になって放り出されてしまう、というイメージをもつ方もいるかもしれませんが、自己破産はあくまでも破産者が更生し、健全に生活していくための手助けをする制度です。

ですから、すべての財産を手放す必要はありません。

  • 99万円以下の財産
  • 生活必需品(家具・家電など)
  • 事業のために必要となる財産(器材など)

これらは手元に残すことが出来ます。自己破産をしても生活していくことは十分可能なのです。

免責許可が下りるまでの流れをご紹介

免責許可を受けるためには、免責許可申し立てが必要となります。しかし、先ほども紹介した通り、現在は破産申し立てをすると同時に免責許可申し立ても行うことになるため、改めて手続きが必要になることはありません。

では、どのように手続きが進むのか、ご紹介していきます。

①免責の調査
免責するにふさわしいかどうか、借金理由などをチェックする
②債権者集会・免責審尋
債権者に破産手続きについての情報を開示・免責について意見を言うのが債権者集会。
続いて、裁判官が破産者に直接質問し免責許可を判断する免責審尋が行われる。
③免責決定
裁判所が免責許可を認める。免責が認められない場合は、免責不許可決定が行われる

免責許可が出るまでの期間は、同時廃止で1~2ヶ月、管財事件になると3ヶ月から1年程度かかることがあります。

基本的には破産管財人が免責の調査を行い、裁判所に調査結果の報告を行います。しかし、同時廃止の場合は破産管財人が選任されないので、事案や裁判所によって手続きが異なり裁判所に1度も行くことなく手続きが終了するケースもあります。

債権者集会では、債権者が免責について意見することが出来ますが、多くの場合は報告などで終了する為、所要時間は5分程度となっています。

免責審尋では、本籍地や住所・氏名といった基本事項から始まり、借金の経緯・理由、今後借金しないで生活できるか、どのようなことに注意をしていくのかなどを尋ねられます。

服装は自由、持ち物も特にありませんが、身分証明書があると良いでしょう。

また免責審尋は必ず行われるものではなく、各裁判所の判断に任されていますので、行われない場合もあります。

免責自体が許可されない!?【免責不許可事由】を確認

免責の許可が認められるかどうかは、裁判所が判断します。このときチェックするのが、免責を許可するのにふさわしい人物かどうかを判断するわけですが、ここで重要になるのが【免責不許可事由】です。

  • 意図的に財産を隠したり、不動産の名義を変えたりするなどの行為
  • 換金行為(クレジットカードで購入した商品を現金に換える行為)
  • 一部の債権者にだけ返済
  • ギャンブルやショッピングなどの浪費
  • 収入や負債額を偽り、借り入れを行った場合(破産申し立て前から1年以内)
  • 債権者を故意に隠していた
  • 裁判所への嘘の供述
  • 過去の免責申し立てから7年経過していない
  • 裁判所などが行う調査へ非協力的な行為

これらの免責不許可自由に該当している場合、借金の免責が認められない恐れがあるのです。

自己破産による免責は、債権者にとって大きな損失となります。だからこそ借金の目的がギャンブルや浪費など、債務者に大きな過失がないかどうか、免責をするにふさわしいかどうか、借金の原因や現状についての調査が行われるのです。

免責不許可事由があっても【裁量免責】が認められるケースもある

借金の原因やギャンブルや浪費であることは、珍しくありません。では、その人たち全てが免責不許可自由に該当するからと言って免責を受けられないわけではありません。

免責不許可事由に該当した場合でも、破産手続き開始に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可するかどうかを決定できる裁量免責という制度があるのです。

嘘をつかないことはもちろんですが、反省しているか、これからの経済的な立て直しに対する姿勢はどうかといった、誠意ある様子を見せることが大切となります。

実際、自己破産で免責が認められないケースは全体の0.2%程度です。

ただ、悪質な場合は裁量免責も認められませんので、必ず免責が認められるわけでもないということは覚えておきましょう。

免責が認められなかった場合は他の債務整理を検討しよう

免責が認められなければ、自己破産をしているのにも借金が残った状態となります。

しかし、この借金を全額返し続けなければいけないということでもありません。

免責が認められない場合は、民事再生や任意整理を検討することで借金を減らすことが出来るのです。

ただ、免責不許可自由があるからといって最初から個人再生や任意整理に決めるのは待ちましょう。

先ほど紹介したとおり、裁量免責によって免責が認められる可能性もあります。まずは弁護士などに相談することが大切です。

自己破産をしても返済が残る【非免責債権】

自己破産で免責が認められたら、すべての借金は基本的にはゼロになります。

しかし、自己破産をしても免責にならない【非免責債権】と呼ばれるものがあり、これは自己破産後も返済を続けなければいけないのです。

非免責債権は、破産法によって定められています。

  • 租税等の請求権
  • 悪意でくわえた不法行為に基づく損害賠償
  • 故意や重い過失により加えた、人の生命や身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求
  • 夫婦間の協力・扶助の義務、婚姻費用分担の義務、子の看護に関する義務、扶養の義務
  • 従業員への給料や預り金
  • 申し立ての際に債権者名簿に記載しなかったもの
  • 罰金など

最も多いのは、租税等の請求権です。固定資産税や住民税、軽自動車税や国民健康保険税などは、自己破産をしても免責対象にはなりません。

また、交通事故の損害賠償請求については、重過失ものは免責されませんが、一般的な過失であれば免責対象となります。

離婚時に発生する請求関係についても、浮気に対する慰謝料は免責となりますが、DVに対する慰謝料や養育費の請求は免責されません。

自己破産では免責を認められないと借金がゼロにならない

自己破産をすると借金がゼロになると考えている方が多いかもしれませんが、借金をゼロにするためには免責を認めてもらう必要があります。

ギャンブルや浪費が原因の借金は免責不許可事由となり免責が認めてもらえない可能性がありますし、税金関係の滞納など非免責債権と呼ばれるものは、自己破産をしても返済義務が残ります。

自己破産をする際には弁護士に相談し、免責不許可自由に該当しないか、そして、非免責債権がどのくらいあるのかを確認することが大切です。

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