ブラックリストとは?借金救済制度で載るとどうなる?債務整理後の掲載期間と影響、確認方法

ブラックリストとは?借金救済制度で載るとどうなる?債務整理後の掲載期間と影響、確認方法

債務整理を検討する上で、気になるのが「ブラックリスト」についてです。

そもそもブラックリストとは、何なのでしょうか。よく耳にする言葉ではありますが、金融機関において「ブラックリスト」という名前のリストはありません。信用情報機関に金融情報の事故情報が登録されることが、いわゆるブラックリストに載る状態です。

多くの人は、「ブラックリストに載ると困る」「ブラックリストに載りたくない」と考えているでしょう。

「ブラックリストに載ると人生が終わってしまう…」と悲観的に考えている方もいるのではないでしょうか。ブラックリストに載るとどうなるのか、誤解している人も多いのが現状です。

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ブラックリストに載ると実際にどうなるのか?それは、返せない借金を抱えていることよりブラックリスト登録の方があなたにとってデメリットとなるのでしょうか?

債務整理とブラックリストの関係性について、手続き前に確認しておきましょう。

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ブラックリストとは?「事故情報の登録」のこと

ブラックリストとは、消費者の信用情報を登録している「信用情報機関」に、事故情報が登録されている状態を指します。

信用情報機関には、金融に関わるさまざまな会社が登録しています。

  • 銀行
  • 消費者金融
  • クレジットカード会社
  • カードローン会社

これらの会社の顧客が、どのような行動を行ったのかを記録しているのが、信用情報機関です。登録された情報は、加盟企業全体で共有され、サービスを利用しようとする消費者が信用に足る人物かどうか、判断するための材料として使われます。

では、信用情報機関に登録される「事故情報」とは、どのような情報なのでしょうか。具体的には、以下のような例が挙げられます。

  • 返済が2ヶ月以上滞っている
  • 返済が滞ったため、保証会社等による代位弁済が行われている
  • 借金救済制度である債務整理(自己破産・個人再生・任意整理)をする

こうした行動を取ると、いわゆる「ブラックリストに載る」という状態になります。

ブラックリストというLISTというものは特にありません。信用情報に金融関連の事故情報が記載されるということを意味します。

一般的に2ヵ月以上の滞納、61日以上の延滞があった場合はブラック入りします。滞納には、携帯電話やスマホ会社への分割払いの滞納も含まれます。

携帯電話やスマホの通話料金だけなら滞納してもブラック入りしませんが、端末代を通話料金と一緒に支払っている場合は分割払いの滞納としてブラックリスト入りします。

債務整理=ブラックリスト」というイメージも強いですが、実際には、わずか2ヶ月程度の返済遅延でも、ブラックリストに登録される可能性が高いです。債務整理を検討し始めたときには、「すでにブラックリストに載っている」という方も多いというのが、現実なのです。

信用情報機関とは?

事故情報が登録される、信用情報機関。日本にある信用情報機関は、以下の3つです。

  • 全国銀行個人信用情報センター(KSC)
  • 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
  • 株式会社日本信用情報機構(JICC)

銀行が加盟しているのがKSCで、クレジットカード会社やカードローン会社は、CICとJICCの両方、もしくはどちらか一方に登録しています。

3つの情報機関は、それぞれで情報を共有。このため、利用した金融機関がどこか1つにでも登録していれば、ブラックリスト情報は、全てで共有される仕組みになっています。

信用情報とは、あくまでも金融サービスの利用や申し込み情報を記録するもの。たとえブラックリストに掲載されても、人種や思想、保健医療、犯罪歴等が記録されることはありません。

ブラックリストに載るとできなくなる6つのこと

ブラックリストに載ったからといって、社会的に不利益を被るわけではありません。

仕事をクビになる、就職や転職ができなくなる、戸籍に載る、携帯電話を契約できなくなる、生命保険に加入できなくなるなど誤解されることが多いですが、そのようなことは一切ありません。

生命保険に加入できるのか心配される方は多いですが、加入にあたって信用情報が照会されることはありません。保険会社にもブラックリストが存在しますが、金融のブラックリストとは別物です。

一般企業や保険会社には信用情報を照会できる権限はないので、解雇されることはないですし、就職や転職、保険の加入などに影響が出ることもありません。

ブラックリストに載ると、原則としてできなくなるのは、以下の6つの行動です。

自分名義のクレジットカードの新規作成

年会費無料クレジットカードなどのクレジットカードを新規申し込みした際に、カード会社は、申込者の信用情報を照会します。ブラックリストに登録されていることがわかれば、審査を通過するのは難しいでしょう。

ただし、カードの作成が絶対に不可能というわけではありません。カード会社によっても状況は異なりますが、「極めて難しい」というのが実情です。

たとえば、支払いの滞納でブラック状態になっている場合でも、現在は安定した収入があり滞納もしていないという場合などは、稀に審査に通ることもあります。

過去の事故情報よりも今現在の支払い能力を重視するカード会社もあるので、新規作成が100%できないわけではありません。

しかし、ほぼ審査には通らずクレジットカードを作ることが一定期間はできなくなる!と思っておいて間違いはないと思います。

自分名義のクレジットカードの使用

ブラックリストに載ると、保有しているクレジットカードも順次停止されます。停止された後は、もちろん使用は不可能です。

一般的なETCカードは、クレジットカードに付随して発行されます。こちらも使用できなくなってしまうので、注意しましょう。

新たなローン契約

ローン契約時にも、信用情報を照会されます。クレジットカード契約と同じく、ローン契約を結ぶことも極めて難しいでしょう。

ローン契約には、カードローン以外に、以下のようなものも含まれていますから、十分に注意してください。

  • 住宅ローン
  • カーローン
  • 教育ローン
お金を借りる金額が大きくなればなるほど、申込者の「信用」が重視されます。住宅ローンやカーローンは、特に厳しいと思った方が良いでしょう。

携帯電話・スマートフォンの分割購入

携帯電話やスマートフォンを購入する際に、24カ月での分割支払いを選択する方も多いのではないでしょうか。

しかしこちらも、ローンの一種。ブラックリストに載ると、申し込み時の審査で落とされる可能性が高くなります。

端末の分割支払いを希望すると、携帯電話会社は金融機関と同じように信用情報を見て事故情報の有無をチェックします。ブラックリストに載っていると審査を通過できないのです。

ただし、これまでに料金を滞納したことがある場合を除き、携帯電話の契約そのものは可能です。滞納したことのある方は、携帯電話会社内で社内ブラックになっている可能性があり、契約できないケースがあります。

ブラックリストに登録されている間に携帯電話やスマホを購入する方は、本体代金を一括で支払うようにしましょう。

保証人になること

身近な人がローンを組む際に、保証人になるよう求められる可能性があります。しかし、ブラックリストに登録されている間は、保証人にはなれません。

保証人は万が一のときに代わりに支払いを要求されるので、支払い能力がなくてはなれません。個人信用情報機関を照会した審査はローンを組む本人だけでなく、保証人になる人に対しても行われます。

「特に困ることはない」と思いがちですが、子どもの奨学金で問題が発生するケースが多く見られます。奨学金は子どもが契約者となって親が保証人になるケースが一般的ですが、不可能です。配偶者の名義で住宅ローンを組む際も保証人になれません。

賃貸住宅の契約(家賃保証会社との契約が必須の場合)

賃貸住宅の中には、家賃保証会社との契約が必要なところがあります。

保証会社の契約時には信用情報への照会が行われるため、ブラックリストに登録された状態では、審査通過は難しくなってしまいます。

もちろん、全ての審査で「落ちる」と決まっているわけではありませんが、より確実な入居を目指すのであれば、家賃保証会社との契約が必要ないところを選びましょう。

ブラックリスト登録中にクレジットカードが必要になったら?

ブラックリストに載った際に、困る可能性が高いのは、「クレジットカードの発行・利用」についてです。

もはや生活必需品と言っても過言ではないクレジットカード。昨今のキャッシュレス決済の普及も相まって、必要不可欠なものになっているという方も多いのでは。

ブラックリストに登録されている期間にカードが必要になった場合、どうすれば良いのでしょうか。

ブラックの状態では、クレジットカード審査にはほぼ通らないと思っていて間違いありません。

「審査通過するまで手当たり次第申し込んでみる」という方法は避けたほうが無難です。クレジットカードへの申し込み情報、審査落ちした情報も、信用情報に記録されるためです。

どうしてもクレジットカードが必要な場合は、以下のいずれかの方法を検討してみてください。

家族カードを発行する

ブラックリストに登録されるのは、あくまでも「個人」です。このため、「家族」の名前でクレジットカードを作成し、「家族カード」を作成するという方法があります。

家族カードのため、請求は家族の名前で届きますが、使い勝手は普通のクレジットカードとほぼ変わりありません。

家族カード発行可能なクレジットカード会社を選び、契約しましょう。

デビットカードを利用する

デビットカードとは、クレジットカードと同様に、ショッピング等で使えるカードです。ただしその支払いは、登録した銀行口座から即時引き落としされます。

クレジットカードのように代金を立て替える仕組みではなく、発行にあたって審査もないため、ブラックの方でも利用可能です。

クレジットカードは後払いで限度額まで利用できるのに対し、デビットカードは口座の残高の範囲内でしか利用できないため、使い過ぎを防止できるメリットがあります。

プリペイドカードを利用する

プリペイドカードは、あらかじめカードにお金をチャージし、チャージした金額内で買い物ができるカードです。

クレジットカードと違って審査はなく、誰でも手軽に利用できるのが特長です。入会費や年会費もかからず、さまざまなお店で幅広く使えます。

クレジットカードは後払いなのに対し、プリペイドカードは前払いですが、チャージした金額が使える範囲となるので、デビットカード同様に使い過ぎを防止できるメリットがあります。

ETCは「ETCパーソナルカード」を利用する

ETCカードが必要になった場合には、ETCパーソナルカードを利用しましょう。こちらは、プリペイド式のETCカードです。

申し込み時にはあらかじめ保証金(デポジット)を支払う必要がありますが、発行の際に特別な審査は行われません。利用した料金は、指定口座より1ヶ月単位で引き落としされます。

ブラックリストに登録されている期間は、無理にクレジットカードを作ろうとしない方が良いでしょう。同じような仕組みのカードを、上手に活用しましょう。

ブラックリストに登録される期間と確認方法

これらの行動が制限されるのは、ブラックリストに登録されている期間のみです。一定期間が経過すると事故情報は削除され、またローンも組めるようになります。

ブラックリストに載る期間は、信用情報機関や登録された理由によって異なります。

KSC CIC JICC
2ヶ月以上の延滞 5年 5年 1年
3ヶ月以上の連続延滞 5年 5年 5年
債務整理 5年~10年 5年~7年 5年

ここで気になるのが、「一体いつから5年(10年)なのか?」という点です。

こちらも、登録理由や信用情報機関によって異なりますが、概ね以下の通りです。

長期延滞の場合 延滞が解消してから5年(1年)
債務整理の場合 和解が成立した後、もしくは借金完済後から5年(10年)
元金だけでなく利息遅延損害金もすべて返済しないと延滞が解消したことにならないので、注意してください。

これらの期間は、あくまでもおおよそであり、「ぴったり5年」等で情報が削除されるわけではありません。自分の情報を知りたい場合や債務整理後に新たにローンを組む場合などは必ず開示請求を行いましょう。

万が一、新たにローンを組む際に情報が削除されてなかったら、審査に落ちてしまい、審査に落ちたという情報が残って引き続きブラックリストに載ったままになってしまいます。

【開示請求とは?】
自分の信用取引に関する情報を開示するよう、各信用情報機関に請求すること。インターネットや窓口、郵送での開示請求が可能。本人確認情報の提示と、手数料の支払いが求められる。

情報開示請求の方法

開示請求を行う場合、まず自分の情報が登録されているであろう信用情報機関を選ぶ必要があります。銀行からの借り入れであればKSCに、クレジットカードや消費者金融であれば、CICとJICCを選択しましょう。

必要な書類と手数料を持って窓口に行くのが最も確実ですが、新型コロナウイルスの影響により、窓口での業務を制限している機関もあります。あらかじめ、選択可能な手続き方法についてリサーチしておくのがおすすめです。

開示請求をせずに、新たなカードやローンの申込みをしてしまうと、まだ情報が残ったままの場合は、審査に通らないばかりか、審査落ちした情報も記載されてしまいます。

【債務整理別】ブラックリストとの関係性を解説

借金救済のための手段の一つである「債務整理」ですが、借金を減らしたり免除できる一方でデメリットもあります。借金減額制度を利用すると基本的にはブラックリストに情報が掲載されてしまいます。

債務整理には、以下のような方法がありそれぞれメリット・デメリットがあります。

  • 任意整理:利息カットで借金減額を目指す手続き
  • 個人再生:元本含めた借金総額を圧縮することで借金減額を目指す手続き
  • 自己破産:借金をなしにすることを目指す手続き

債務整理のデメリットは、ブラックリストに登録されるということだけではありません。任意整理、個人再生、自己破産のデメリットもそれぞれに知っておく必要があります。

ブラックリストへの登録以外のそれぞれの手続のデメリットは?

  • 任意整理:債権者が交渉に応じてくれない場合がある、利息カットのみなのであまり借金が減ったと感じない場合もある、借金返済の義務は引き続き残るなど
  • 個人再生:官報への掲載、保証人への一括請求、費用が高め、期間がかかる、手続きが煩雑、同居人や家族にはバレてしまう可能性あり、5000万円超えの借金は手続きできない、借金返済の義務は引き続き残るなど
  • 自己破産:財産没収、官報への掲載、保証人への一括請求、費用が高め、手続き中に制限される職業や資格がある、社会的信用を失うなど

また、過払い金返還請求をした場合の、ブラックリストについても詳しく解説していきます。

任意整理をした場合

任意整理を行った場合の、信用機関別対応状況は以下のとおりです。

信用機関名 登録情報内容 ブラックリストへの登録 事故情報が消されるまでの期間
CIC 支払条件変更
支払い総額変更
    ○ 借金完済から5年
JICC 債務整理
返済条件変更
返済総額変更
    ○ 借金完済から5年
KSC なし     × なし

任意整理の場合、ブラックリストに登録されるのは、CICとJICCのみで、期間は約5年です。

任意整理の場合、債務整理のあとも返済が続きます。「5年」というのは、完済等によって契約が終了したあとから数えるケースが一般的です。

またKSCの場合も、返済が滞った際に、保証会社などから代位弁済が行われていれば、その旨が信用情報に記載され、ブラックリストに登録される可能性があります。

個人再生をした場合

個人再生の場合は、以下のような対応となります。

信用機関名 登録情報内容 ブラックリストへの登録 事故情報が消されるまでの期間
CIC なし     × なし
JICC 再生を申し立てした
事実
    ○ 借金完済から5年
KSC 再生につき、
開始決定が出た事実
    ○ 再生開始決定日から10年

CICでは、個人再生について何らかの情報が登録されることはありません。

ただし、やはり代位弁済がされていれば、その事実が事故情報として登録される可能性があります。

自己破産をした場合

自己破産とブラックリストとの関係は、以下の通りです。

信用機関名 登録情報内容 ブラックリストへの登録 事故情報が消されるまでの期間
CIC 破産開始決定・免責の有無     ○ 破産開始決定日から5年
JICC 破産申立ての有無     ○ 破産開始決定日から5年
KSC 破産手続き開始決定の有無     ○ 破産開始決定日から10年

自己破産をしたからといって、ブラックリストによる縛りがきつくなるわけではありません。KSCの場合は10年と、登録期間が長くなりますが、上手に乗り切っていきましょう。

過払い金請求をした場合

過払い金請求をした場合、ブラックリストに登録されるのかどうかは、状況によって異なります。3つのパターンに分けて解説します。

借金を「完済」した後に過払い金請求をした場合
借金完済後の過払い金請求については、手続きをしてもブラックリストに登録されることはありません。「過払い金請求済」といった信用情報は存在しないため、ネガティブな情報は一切記録されません。
借金「完済前」に過払い金請求をし、引き直し計算で「負債が残る」場合
現在もまだ返済が続いている借金について、過払い金請求をした場合、どの程度のお金が返ってくるのか、引き直し計算が行われます。
過払い金で借金を相殺できず、これから先も取引(返済)が続く場合、ブラックリストに登録されます。登録される情報は、任意整理を行った場合と同じです。
借金「完済前」の過払い金請求で、引き直し計算で「負債が0」になった場合
返済中の借金について過払い金請求を行い、引き直し計算の結果、全ての借金を返済できるケースもあります。この場合、一時的にブラックリストに登録される可能性があります。(※任意整理と同様の扱い)
しかし、引き直し計算の結果が確認され、残債がないことが確定すれば、事故情報は消去されます。
いったんブラックリストに登録されるかどうかは、取引先金融業者によっても、対応が異なるポイントです。気になる場合は、専門家に相談しましょう。

過払い金請求をして、確実にブラックリスト登録されるのは、「過払い金の返還を受けても、なお借金が残った場合のみ」です。

過払い金請求を通じて、自分がブラックリストに登録されそうかどうかは、弁護士や司法書士に相談してみるのがおすすめです。的確なアドバイスをもらえるでしょう。

ブラックリストに載ることに不安な場合は、まず専門家に相談を!

ブラックリストに登録された情報は、情報そのものが誤りではない限り、消去してもらえません。「お金を払えば消せる」というのは詐欺ですから、注意しましょう。

とはいえ、たとえブラックリストに載ったとしても、制限を受けるのは生活のごく一部分です。生活が成り立たなくなるようなことはありません。

「ブラックリストに載るとどうなるのか?」という不安から、債務整理をためらう方もいるかもしれません。

しかし、返せない借金で悩まされ続けるよりも、たとえブラックリストに載ったとしても、借金を整理した方が良いケースも多いのが現実です。借金滞納をして一定期間が経った場合もブラック入りしてしまうためです。

ブラックリストに登録された事故情報は、約5年~10年で消去されます。「これから先どうしよう」「今債務整理をしても大丈夫なタイミングなのだろうか?」など悩んだときは、まず弁護士や司法書士といった専門家に相談しましょう。あなたの借金に合った最適な方法で、借金減額を勧めてもらえるはずですよ。

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